80b.jpg代表取締役 加藤秀幸さん

障がい者の幸福と社会に尽力したい
~就労支援をはじめ多様な障がい者福祉事業を展開~

●創業の経緯を教えてください

 会社の創業は1984年で、以前は衣料品卸業を手掛けていました。その後、時代とともに衣料業界全体が伸び悩み、試行錯誤していた時期に、知り合いから高齢者介護施設をこれからの事業として考えてみたらとアドバイスをいただきました。その当時は、社会福祉法人以外に民間の営利企業も運営が可能となった時期でもありました。それ以来、介護事業に興味を持ち、まずは新庄に高齢者介護センターを開設したのが、当社が福祉事業を始めた経緯です。
 また、その頃に、障がい者を対象とした事業所を運営している方から、新庄最上地域は障がい者向けの支援施設が少ないという話をうかがい、それなら当社でやってみようということになりました。

●高齢者介護と障がい者支援の事業を始められたのですね

 はい。その当時は、新庄市内でも民間の高齢者福祉施設は多くなかったのですが、15年ほど経つと、たくさんでき始め、それを機に障がい者福祉に専念することにしました。それが、障がいをお持ちの方を雇用し、生活支援と一般企業への就労支援の機能を兼ね備えた、障がい者就労継続支援型の事業所を立ち上げたきっかけです。
 現在では、就労支援型だけでなく、生活支援を主目的としたグループホームも複数運営しておりますし、新庄最上地域だけでなく、楯岡や東根、河北にも開設しております。

●障がい者支援のニーズは

 当社が事業所を開設して半年ほど経った頃、ニーズはかなりあると感じました。それはいまでも変わらないと思います

●運営の難しさはどんな点ですか

 就労支援を目的のひとづとして、障がいをお持ちの方を雇用し従業員として働いてもらっています。働きながら、企業に勤めることを体験し、作業のスキルなどを身に付けてもらいます。その中で、一般企業への就労を希望する従業員には、当社のスタッフがそのサポートとケアを行っています。
 経営者として大変な点は、事業所として従業員の人たちにどのような仕事をしてもらうのか、その内容を考えることですね。一口に障がいといっても、人それぞれに異なりますし、どのような能力を持ち、どんな生活を送りたいかも人それぞれです。その一方で、事業体として雇用していますので、きちんと給与を支払うために収益も上げなければなりません。その両面から、どのような仕事を手掛けたらよいのかと大変悩みました。

●具体的にはどのような仕事を

 現在では、硬式野球ボールの再生を行っています。野球ボールは芯に糸を巻き付けたものを牛革で包み縫い合わせることで出来ています。それが試合や練習によって次第に傷むのですが、その表皮や糸を取り換えることによって、練習球として再び使えるようになるのです。
 当社は、主に高校野球のチームから再生の依頼を受けています。現在では、国内の全ての都道府県の高等学校から傷んだボールが届いていますよ。高校野球の試合中継で、当社のボールを練習でお使いのチームが出るたびに嬉しさを感じますし、応援してしまいますね(笑)。

●今後のビジョンをお聞かせ下さい

 障がい者福祉は、対象年齢層が大変に広く、また持っている障がいもそれぞれ異なります。事業者としてひとつのサービスの形をとりながら、人それぞれに異なるケースのすべてに満足していただくのはとても難しいことです。ゴールがないというのが福祉の本質なのかもしれません。
 当社としては、経営や施設管理をより良い形にすることで利用者に満足していただきたいですし、再生ボール事業、また一般企業への就労支援活動を通して、もっと社会の役に立っていきたいと考えています。


80c.jpg2012年入社 事業調整係 加藤 葵さん

●どのような仕事ですか

 当社が運営している事業所は、知的障がい・身体障がい・精神障がいをお持ちの方を雇用し、仕事をしていただきながら就労を支援する「就労継続支援A型」というサービス事業所です。
 ここでは、従業員が仕事をしながら一般企業で働くための知識や技能を養っていくことを目的としています。具体的には社会生活技能や企業で働く上で必要な知識や技能を、この会社で働きながら学び、一般企業での就労を皆さん目指しております。
 私は事業調整係として、当社で運営している各事業所の運営管理、新規利用者のケースマネジメントや相談援助、行政機関や医療機関、福祉支援機関との調整業務等を行っております。また、行政や医療機関、社会福祉協議会など外部機関との連携も大切な仕事です。

●仕事上の目標は何でしょうか

 当事業所で働いている人のすべてが、必ずしも一般企業に就労したいというわけでありません。
事業所の支援の目的は、あくまでそれぞれが望む生活やその人らしい生き方の実現への支援であって、一般企業へ送り出す事だけではないのです。その目的を間違えないようにしながら、一般企業への就労をかなえた利用者ご本人と受け入れた企業様との間で調整しながら、双方にとって幸福な結果が生まれるように努力することが大切ですね。

●気を付けていることは

 利用者やご家族の相談を受ける時には、私たちの側が一人で受けることはありません。基本的にはチームでお話を伺います。相談を受ける側も人間ですから、時として気持ちが動いたり、感情移入してしまうこともあります。しかし、それが原因で、本当の良いアドバイスからそれてしまいかねない危険性もあるのです。
 そういったことを防ぐために、チ-ムで相談を受け、話し合いを重ねながら、その方にとってのベストの方策を考えるようにしています。
 福祉とは、人間相手の仕事ですから、気持ちの根底には人間味が必要です。でも、その人間味ゆえに気持ちが深入りしすぎて、全体が見えなくなってしまってはいけません。人間としての感情の持ちようと、常に客観視しながら冷静に対応することのバランスに気を付けるようにしています。

 

【先輩からひと言】
民間企業も一定割合の障がい者を雇用しなければならないと法律で定められています。
障がい者の方の雇用を、貴重な労働力として積極的に考えている企業もあります。
 

【おしごとPoint!】
陣がいも人それぞれ違い、将来への希望もそれぞれ異なります。寄り沿うことでその実現を図るのが福祉です。