23b.jpg代表取締役社長 監物雄一郎さん

地域の若者が挑戦できる体制を
~服飾分野で独自のブランドを育てる~

◆どのような会社でしょうか

 当社は、婦人服を主に一部ベビー服の製造を行っております。主力の婦人服では、シャツ・ブラウス・スカート・ワンピースなどの中軽衣料を得意としています。
 受注後、生地を型に沿って裁断し、それを縫い合わせて製品に仕上げ出荷するという仕事です。工程によっては自動化もされておりますが、人の手による繊細な技術力の維持をモットーとしている会社です。

◆会社設立の経緯を教えてください

 私の父が当社の創業者です。父は以前、縫製業に勤めておりまして、その後独立し当社を設立いたしました。創業して29年目になります。父からは、「創業時はバブル期で、「衣・食・住・遊」の時代。人間は裸では生活はできないと言う理念から「衣」の会社を立ち上げたんだ」と聞いています。
 私は、地元の高校から東京の大学に進み卒業した後、大手商社の系列会社に就職しました。そこで、アパレル関係の生産管理を担当しておりました。

◆縫製業は女性が多い職場ですね

 縫製業は縫うことに関しては作業が複雑で機械化が難しい仕事です。人手に頼る部分が大きく、その為器用な手先仕事が重要なことから女性が占める割合が多い産業です。当社では、高卒者の新規採用はもちろん、10代から40代まで幅広い年齢層で採用しています。
 縫製は、手先を使う仕事ですので、来ていただくのは、器用な方が理想ですが、まずは素直で真面目な性格が一番大切と思っています。当社としては、まず入社していただき、性格を見極めながら適材適所に配属していくという方法をとっております。でも、続かない方は何をやっても続きませんし、会社として出来る事も限度がありますので、根気ある方をいかに育て、会社にとって必要な人材になっていただくか、その工夫や努力が、ひいては会社自身の成長につながると思っています。

◆最上地域の印象をお聞かせ下さい

 私が東京から戻ってから12年が経ちますが、年々人口の流出や地域離れ、地元への関心の薄さを感じます。
東京にはオリンピック景気があると思いますが、その影響が地方に及ぶことはあまり期待できないと思っております。日本全体の人口が減少している中で、最上地域も加速度的に減ってきていますから、これをカバーすることは難しい事かもしれません。私自身、団体活動で地域の活性をはかる運動をしていますが、現状厳しい状況にあると感じています。しかし、この地に生まれ育ったものとして、そして企業人としてこの地域を盛り上げていくための役割はあると思っております。
 そのために、平成27年から当社のファクトリーブランドである「Anthemion(アンテミオン)」を立ち上げ、最上から全国や世界に向けて発信しようとしておりますし、東京に系列会社として「ボンドインターナショナル」を設立し、自社製品の販売を促進させております。同様の挑戦を、我々業界に限らず他の企業も行って、各々の成功につなげる事が、この地域の再生になるのだと思っています。幸い当社は縫製業という、生地から最終製品まで自社で作ることが出来る業種ですので、ファクトリーブランドに向いていたのだと思います。

◆独自ブランドの立ち上げに大事なことは何でしょう

 何より、資本力と発信力です。最上地域の人は地道で真面目ですからmade in Japanを謳う事ができる高品質なものをつくることができるんです。その人的資源としての資本と、独自ブランド品を在庫できるだけの物的、資本力が必要ですし、商品の良さをアピールし説明する力、交渉力、エンドユーザーに向けての発信力も大切だと思います。
 若い人たちがこの地に定着するには、若者たちで作ったモノを、大消費地の都心部で売ると言う体制に挑戦していくしかありません。


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平成23年度入社 笠原朋恵さん

◆どんな仕事を担当していますか

 私は主に裁断を担当しています。当社は婦人服などを製造している会社で、製造工程は生地を切って縫い合わせることなのですが、裁断はその一番初めの、布地から型通りのパーツを取り出すという工程です。そのため、もし間違えてしまえばその生地はすべて無駄になりますので、責任のある仕事です。
 私はこの会社に入社してからずっとこの裁断業務を担当しています。生産量はシーズンや流行によっても異なりますが、大体、1日当たり1,000着分は切ると思います。私は入社したての頃には、裁断を終えたパーツを仕分けする仕事をしていましたが、1年ほど経ってから裁断作業そのものを任されるようになりました。

◆失敗したことはありますか

 はい。始めた当初ですが、間違えたときには青くなりました(笑)。その時は、すぐに上司に報告しまして、作業を止めたのですが、調べたところ、誤差は治せる範囲のわずかなもので問題は無く、救われましたが、良い経験になりました。

◆この進路を選択した理由は

 学生の頃から、それほど自分の職業として何をしたいかというこだわりがあったわけではありません。ただ私の場合は両親も縫製業を仕事にしていまして、小さい頃からそれを見ていましたし、馴染みもありました。また、仕事内容についても教えてもらいましたので参考になったことが就職先を選ぶ良いきっかけになったように思います。

◆この仕事で大変なことは

 裁断作業は立ち仕事ですので、身体的な辛さはあります。今はすっかり慣れましたが、学生の頃は椅子に座って受ける授業の時間が長いですので、仕事を始めてからしばらくの間は体が大変でしたね。

◆後輩へアドバイスをお願いします

 進路を選んだり決める時には自分がやりたいことをきちんと見つけるのが大事だと思います。一度就いた仕事をなるべく継続できるように、自分に合った仕事を選んでほしいと思いますね。そのためには、学生のうちから自分自身をよく見つめて、どんなことに興味があるのかや得意なことは何かを見つけ、友達や先生、家族に相談して他の人の目で評価をしてもらい、参考にするのが良いと思います。
 また、失敗した時の相談や、辛いことなども言えるように普段から先輩や上司と、コミュニケーションを取っておくことも大事です。私はもともと人と話すことがあまり得意ではありませんので、この会社に入ってからはなるべくたくさんの先輩と話すようにしていました。
 最近ではもっと若い世代も入ってきていますので、今度は私が先輩として仕事を教えることもあります。その教え方といった面でもコミュニケーションはとても大事だと思っています。

◆将来の夢を教えてください

 将来は結婚して家族ができたら良いなと思います。その時も、できれば地元に住み続けたいですし、そのためには、若者や子どもが今よりももっと増えて、最上地域全体が活き活きとしていたら嬉しいですね。

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裁断前の布地の準備作業

23e.jpg加工機械による裁断