代表取締役社長 小野木重弥さん
地域の若者が挑戦できる体制を
~服飾分野で独自のブランドを育てる~
◆どのような会社でしょうか
当社は、豚肉を中心に生産から加工販売までを一貫して提供している会社です。創業は昭和54年で、大手ハムメーカーの下請けからスタートしました。現在では、庄内町にある本社センターと山形、新潟地区を対象とした産地パックセンター、酒田市にある業務用卸事業部門があり、秋田や青森に加工場があります。
その他にも東京と新潟に社員を配置し、東北一円と北陸、新潟から北関東にかけてのエリアを対象として、主にスーパーマーケットや百貨店に豚肉を販売しております。
当社は、製品の美味しさと品質でお客様に貢献したいと思って仕事をしております。例えば、平成23年好感度コンテストで、グランドチャンピオンである農林水産省生産局長賞をいただくなど、日本一の銘柄豚ブランドを構築するという目標へ一定の成果が出たのではないかと社員全員で嬉しく思っているところです。
現在のグループ生産量は、豚肉カット事業では年間約9万頭分を出荷していまして、パック事業部では平均で一日あたり約3万パックほどになります。また金山町の農場は、開設してから7年目になる当社として初めての本格的な畜産事業部で、ここで年間1万6千頭の豚を出荷しています。
◆金山町に生産農場を設立したのは
当社は、自前の生産農場の新設を検討して何年も候補地を探していたのですが、その際候補に上がっていた金山では、地域の皆様ももちろんのことJAや行政の方からも大変親身に対応していただきました。そういった縁もあり、金山町に新設することとなりました。
庄内の会社である我々が進出するにあたり、企業誘致することについて地域の方々へ熱心にご説明いただきましたことは、大変ありがたいと今でも感謝しております。
◆他地域に展開する時、間に入ってくれる存在は大きいですね
はい。当地で信用を得ている方や企業のご支援をいただくというのはこれ以上ないほど心強いものになると思います。進出することにおいてその地域で雇用が生まれることも説明しましたし、飼料用の米を当地から調達することも提案しました。企業側の都合だけを考えるのではなく、互いにメリットがあるという点を説明してご理解いただくことが極めて大事になると思います。
現在は、地元農産物の販売をお手伝いしたり、地域の農家へ堆肥の供給を行うなど、相互の連携や協力がさらに緊密になってきていると思います。また、さらに付加価値を付けるために、金山地域の農産物のニラと当社の豚肉を使って餃子の製造を開始 するべく、工場を準備しています。
◆これからの目標を教えてください
これは私のライフワークでもある、再生可能エネルギーの取り組みを進めています。その一つとして、これから金山農場にバイオガスの設備を導入します。畜産事業の豚から出る排泄物と食品残渣を原料としてメタンガスを発生させ、そのガスを利用してエンジンを稼働させることで起こした電力を、FITを利用して売電します。豚肉製品の販売店から出る食品残渣物も、この循環の輪に組み入れることも考えております。
ガス生成過程から出る液体は有用な肥料になりますし、これを飼料用米や農産物に使うことで全体として循環型社会に適合した畜産業の形にすることを目指しているのです。
これからは日本全体が人口減少していく時代です。それに伴って、様々な事業も従来のやり方が通用しなくなるという、社会の枠組みそのものが変容するパラダイムシフトが起きているのだと思います。その環境のなかで会社を率い事業を継続していくには、より大きな視野で変化を感じ取り、それに適応していく努力が必要だと思います。当社としては、畜産業を核として様々な循環の輪を作っていくことで日本の畜産産業に貢献する企業でありたいと考えています。
平成24年度入社 柴田惇至さん
◆仕事の内容を教えてください
私は、豚の育成と繁殖を担当しています。また、繁殖能力が下がった豚を出して若い個体に替える、世代交代に当たる更新作業も担当しています。
◆この会社に入った経緯は
私は、以前に建築足場を組む仕事をしておりまして、その仕事のひとつとして、こちらの金山農場の建設に加わりました。その時に、規模が大きい農場だなと思い、そういう大きな施設を運営している会社に興味を持ったのがきっかけです。
その後、この農場は自分の住まいにも近く通勤にも好都合だったこともあり、転職をする形でこの会社に入りました。以前の仕事は、どうしても季節や天候に左右されがちな業種でしたがこちらではそういうことがなく安定して計画的に仕事が進められますので、その点も気に入っています。
◆普段の仕事のスケジュールは
朝は5時過ぎには起床して7時頃に出社します。出社してから、シャワーを浴びて洗髪も行い、その後身に着けているすべての衣服を会社に備え付けのものに着替えます。所持品についてもすべて紫外線をあてて殺菌処理をします。これは、育成施設に入る者すべてが必ず行うことで、豚舎に一切病原体を持ち込ませないために必要な作業ですね。そのために、出社してから実際に作業に入るまでの準備に結構な時間がかかります。郵便物でさえも事務所に入れる前に全て殺菌灯を通すなど、衛生面の管理は徹底しています。
◆衛生面は品質のためですか
畜産関係の方はみなさん神経質に考えていると思いますが、たくさんの生き物を集めて育てている場所ですから伝染病が一番怖いんです。豚の場合、以前に他地域でPED豚流行性下痢)の感染が報告されたこともありました。当農場としては絶対に病原体が入り込まないように徹底しています。
今の仕事は、担当部署のリーダーとして、業務の改善案を提案して上司に認めてもらえば、自分で思ったように仕事ができますし、その結果についてきちんとデータを取り成果を証明することで会社からの評価も得られますので、とてもやりがいがあります。ただ、生き物が相手ですから、時々はこちらの思い通りにいかないこともありますね(笑)。
◆休日はどのように取りますか
休日数が年間で決まっていて、月毎に自分の希望日をチームメンバーとの話し合いで決めています。もちろん豚たちの世話には休みがありませんので、農場全体としては365日稼働しています。
◆仕事に対してのポリシーは
自分の心の中で大事にしているのは、誰かに対して媚びたり、へつらったりしないということです。人から使われたり自分の上に誰かが居るというのは、若い頃は仕方のないことかもしれないけれど、その立場にいつまでも甘んじるのではなく、常に上を目指すという気概を、若い人には大事にしてほしいです。また、自分や家族のために働くと決めたのなら、どんな仕事でも投げ出さずにやることが大事ですね。
育成状況をデータベースに入力