59b.jpg工場長 菊池正明さん

地場の木材を資源として有効活用
~森林資源の産業化と地元人材による運営を目指し地元に貢献したい~

●どのようなものを製造しているのでしょうか

 当社は、杉を材料として、それらを組み合わせた「集成材」を加工生産しています。納品した集成材は、ハウスメーカーが管柱(くだばしら)や間柱(まばしら)(いずれも木造建築に用いる柱の一種)として利用し、住宅などの建築物に使われます。

●新庄に展開した経緯は

 福島県東白川郡塙町で創業したのですが、現在本社は東京の木場にあります。製材業は、その土地の資源である森林が事業の元となる産業です。福島では無垢の柱と集成材で事業を展開していたのですが、資源の確保が難しくなり、森林資源が豊富な土地を探しておりました。その際に山形、特に最上地方は昔から林業が盛んな土地でもあり、良い木材も採れるということから、新庄への工場展開を決めたのです。新庄工場は2016年から建設を始め、翌年の初頭にJAS認定を受け、4月に出荷を開始しました。

●新庄最上のご感想は

 やはり雪がすごいという印象があります。その他には、地元の方たちを採用して感じる事は、人々が非常にまじめで粘り強く仕事に取り組んでくれますので、事業を営む上で大変助かっております。初出荷は春でしたが、すでに6月には出荷の目標数に到達するなど、非常に早い工場の立ち上げができたのも、勤めていただいてる方々のまじめさや勤勉さの表れと感じています。研修や実習においても、仕事の内容を理解、吸収しようとする姿勢にとてもまじめさを感じます。

●製材事業の今後は

 製材業は、地域の資源を使う産業です。当工場も最上地域の方々と共に事業を展開していくつもりです。住宅用の管柱は、現在流通している7~8割が外国産の材料です。これだけ国内に豊富な森林資源を持ちながら外国からの材料を使っていて、大変もったいないことです。日本の住宅は日本の森林資源で造るという形にしていきたい、製材業のビジネスチャンスはまだまだこれからだと考えています。
 当社は大きな工場で大量生産することにより価格競争力を保っています。新庄工場のような大規模の生産設備を活用することで、さらにコスト競争に太刀打ちできる製品を出していきたいと計画しています。そして、いずれは新庄最上の方たちだけで新庄工場を運営していただきたいと考えております。

●現代の若者のイメージは

 遠慮がちというか、おとなしいなというイメージがあります。私が若かった頃は、世の中全体で、どれだけ目立つかという価値観が強い時代でした。会社の中でも上司に遠慮せずに意見を言うというような風潮の中で育った私から見ると、今の若い方は少し遠慮気味のように映ります。もっと自己アピールや自分の意見を言って、自分を出してみてもいいのかなと思いますね。

●それは採用にも関係しますか

 はい。採用の時には、自分の考えをしっかり持っている人を優先的に選びます。学歴や出身校も、その人が学んだ事を知る上で参考になりますが、当社は、採用の基準としては学歴や出身校にこだわりません。
 会社は組織として動きますから、当然、決まり事や会社の方針・考え方があります。会社の方針を受け止めて自分なりにかみ砕き、理解した上で、自分の考え方をきちんと言葉にしてアピールできる方と、ぜひとも一緒に働いてみたいと思います。


59c.jpg2016年度入社 髙山真衣さん

●どんな仕事を担当していますか

 私が担当しているのは、杉の原木から材を切り出して、それらを組み合わせた集成が終わったものを柱とするための最終工程のオペレーターです。具体的にはでき上がった材料を規定の寸法通りに切り出す作業を行い、あとは製品として出荷する最終の工程になります。
 その他に、でき上がってくる製品には、時には傷や節穴がある場合もあります。保守作業として傷や穴を埋める作業も担当しています。ですので、私がそこで見落としたものは、そのままお客様に届くことになるので、見落としがないように気をつけて作業しています。責任重大ですね。

●この会社に入ったきっかけは

 私は、高校を卒業した後ホテルに関する専門学校で学び、その後ホテルに就職して6年ほど働いていました。そのホテルが、たまたま東京の協和木材本社の隣にありましたので、以前からこの会社の存在は知っていました。いずれは地元の新庄に帰るつもりでしたし、そろそろかなと思ったタイミングで、こちらの会社が新庄に工場を進出すると知り、Uターンしました。

●いろいろな縁があったんですね

 はい。私にとってちょうど良いタイミングで、地元に新工場が進出したのは、何かの縁と感じます。両親から新しく工場ができると教えてもらってから、ほどなくUターンの準備を始めました。ハローワークの求人情報を欠かさず見てこの会社の募集を待ち、募集が出てすぐに応募しました。

●入社後大変だったことは

 いままでと違う業種の会社ですので、まずは私にできるかと心配しました。木材のことも機械のこともまったくわからないゼロからのスタートでした。でも、今になって思うと分からないことが多すぎて、むしろ逆に良かったのかなと思うところもあります。上司や先輩から聞いたことは全て吸収できると前向きに考えて、とにかくわからないことは何でもすぐに聞くようにしました。
 ただ、ミスをしてしまった時の報告など話しにくいことや、いきなり仕事の質問では聞きにくいということもありますから、周りの人たちとは、普段から何気ない会話をたくさんして、いつでも質問できるような話しやすい関係を作っておくことが大切だと思いますね。

【先輩からひと言】
「仕事では、業務をこなすだけでなく同時に様々なことも学びます。得た経験や知識は、違う職種でも必ず役立ちますよ。」

【おしごとPoint!】
製材業は、建築を材料供給から支える大切な産業。日本は森林資源が豊富だけど、輸入品も多く出回っている。
近年は、地域の木材を利用する動きも着実に広まっていて製材業も盛んになっている。