小さな挑戦を積み重ねること
~研磨加工に特化しさらに高精度を目指す~

◆どんなものを作っていますか

 当社はガラスの研磨加工を中心に事業を行っています。ガラスの研磨には、レンズのような球面やプリズムのような平面など色々ありますが、現在は平面の仕事が多いですね。
 他にも蒸着、スパッタ、切断なども行っておりますし、サングラスに使われる調光レンズや、偏光レンズも手がけています。メーカーから依頼を受け、当社が研磨や蒸着などの加工を施したものを納める形になります。
 製品はすべて国内メーカーに納品していますが、それらを使った完成品は世界各地で使われていますので、当社の加工技術は世界中でユーザーの方々のお役に立っているということになります。また、当社の特徴としては、完成後の製品検査を、全て目視での検査を行っていることですね。

◆起業の経緯を教えてください

 先代の社長の父親に当たる方が始められたのですが、この方は第二次大戦中に東京に居られ、その時にガラスの研磨加工をされていたそうです。戦災を避けるための疎開で地元の最上に戻り、故郷で引き続きその作業に当たったというのが当社の事業の源流となりました。当初は一眼レフカメラに使うペンタプリズムやフィルターの加工から事業がスタートしました。

14b.jpg製品本部副本部長 今田健一さん

◆最上でお仕事をされての感想は

 私自身も新庄出身なのですが、最上人というのは地道にコツコツと仕事をこなす粘り強さがあると思います。当社の事業は研磨が中心で、より良い製品にしていくために、ひたすらモノに向き合う仕事ですので、そのような気質は向いているとも思います。
 若い頃にコンピューター関係を学び、都会でそのような仕事をしていました。地元に帰らなければならなくなった時に同様の職を探したのですが、当時の最上地域にはありませんでしたので、初めて製造業の品質管理の職に就いたのです。しかし、始めてみると製造業も面白くて今まで続けてきました。

◆製造業の面白さは何ですか

 一番は、色々なことを試し、考え、工夫しながらモノを作っていく、そういった試行錯誤も面白いのではないでしょうか。また、出来上がった製品をお客様に喜んでいただけるという満足感を味わえることも面白さのひとつだと思います。
 また、当社の技術を信頼して加工を依頼してくれる企業は全国各地にありまして、北海道から九州まで訪れてお話をさせていただいてます。大変さもありますが、それがそのままやりがいになっていますね。

◆若い世代に何を求めますか

 何よりもやる気です。やる気があって、なおかつ明るい性格の方がいいですね。何をしてきたとかどんな資格を持っているなどといったところは特には求めません。製品作りは社員同士の様々な関わりの中から生まれるものでもありますから、人間関係について前向きな明るさをもたらしてくれるような人であれば嬉しいですね。
 その他には上司や先輩の話をよく聞けることです。アドバイスや、例えば今回の製品はこんな風に加工して欲しいといった指示をきちんと受け止めて理解できること。これはとても大切ですね。よく聴いて理解し、その通りの加工に結びつけられる能力は、組織としてモノを生産する製造業にはとても大切な資質です。会社にはいろいろな経験をした上司や先輩がいますから、上手にコミュニケーションをとって、彼らの経験から得たものを学びとってほしいです。新たなことに挑戦する時のきっかけや、あるいは失敗した時のカバーも組織全体で行うのが会社ですから、思い切って挑戦してほしいと思います。
 当社はスローガンに「できる、できる、必ずできる。 」という言葉を掲げています。モノづくりの現場というのは絶えず小さな挑戦の積み重ねですから、できると信じて挑戦する、そんな若い方に来て欲しいですね。


14c.jpg平成14年度入社 荒木秀人さん

◆どんな仕事を担当されていますか

 研磨を担当しています。当社は工場が複数に分かれていまして、それぞれに手がける製品が違います。
今は、比較的大きな製品である大判を担当することが多いです。大きなものでは、20センチ角ほどのガラス板を平滑に磨いて依頼先に納品しますが、それを使って各メーカーが最終製品に仕上げます。

◆会社を知ったきっかけは

 高校を卒業する時期の就職活動の時に担任の先生から紹介を受けたのがきっかけです。入社に先だって会社の内容を調べた時に、業務内容に興味を感じて入社しました。

◆入社して大変だったことは

 私は何事もマイペースな性格なものですから、会社勤めは初めから全てが大変でしたね(笑)。製造業という仕事は、顧客から求められた量を、安定した品質で仕上げないといけませんから、手を抜くということはできません。やるべきことを溜めてしまうと後々大変ですから、朝から自分の気持ちにアクセルをかけてどんどんこなしていく、そういった自分自身を急かして気持ちを高めることが大事です。ちょうど自転車を漕ぐような感じですね。

14d.jpg
加工ガラスのセッティング

14e.jpg加工中の製品の状況チェック

◆気持ちを高めるコツは

 気力が出てから会社に行くと言うよりも会社に来ることで気持ちを切り替えるという感じですね。人間ですから、どうしても気持ちが乗らない時もあると思います。でも、出勤するという具体的行動や、定められた動きをすることで自分の気持ちはうまくコントロールできます。

◆入社後に感じたことは

 仕事を通して気づいたことや覚えたことが積み重なっていくと、毎日の業務が新鮮ですし、それが頭の中で増えていく感じがしますね。「去年はこうしたから、今年はこんなアイデアを試してみよう」などと、工夫にはそれまでの積み重ねが活きてくることも多いんです。

◆毎日同じ作業の繰り返しは退屈という人もいますが

 確かにそうですが、同じことを繰り返している分、前の仕事との比較がしやすいとも言えます。比較しやすい分、前回と少しだけ異なる方法を試せたりしますし、新しいアイデアの効果もあらかじめ予測しやすいこともありますから、製造業では良いことも多いですよ。ただ、不良品を減らして作業の歩留まりを上げるためには、集中する必要があります。作業中は余計なことは考えずに、目の前の仕事に没頭することが大事です。

◆職人気質なんですね

 確かにそういうところもあると思います。でも職人気質で固まってしまったら新しい方法に対応できなくなりますし、変なこだわりはプラスにはなりません。
 自分一人が自分なりの方法で製品を上手く作れたとしても、大量生産メーカーでは意味が無いんです。新入社員でも一定の品質で作るためにはどんな生産方法が最適なのかを、全員が共有しないといけません。自分だけで凝り固まってしまうとチームで共有する情報も入ってこないですし、あっという間に古くなって取り残されてしまいますから。