77b.jpg代表取締役 薬剤師 中沼 仁さん

健康と幸福を届ける事業で恩返しを
~地域の介護ニーズに応えたサービスを展開~

●どのような事業を行っていますか

 当社は、最上地域の方々の健康と幸福をお守りしたいとの願いを理念に掲げて、調剤薬局や福祉用具の販売を手掛けるメディカルケアとヘルスケア、また、各種介護サービスを提供するヘルパーケアの2部門で8種の事業を展開しています。

●起業された経緯をお聞かせ下さい

 私は、金山町の生まれで、東京の大学で薬学を学びました。学生の頃には、講義で教わる西洋の近代薬学だけでなく、漢方にも興味を持ち、漢方薬局に通って学びました。
 卒業後は、鍼灸の専門学校に通いながら漢方を中心に仕事をしていましたが、1990年に地元の金山にUターンしました。その時に、実家の隣に薬局と鍼灸治療院を開業したのが、当社の事業のスタートです。2年後に新庄のスーパーマーケット店舗内に薬局を開いた後、尾花沢市や村山市にも開設しました。

●薬局から始められたのですね

 はい。しかし、当時は病院内での処方から院外処方へと大きく変化し始めた頃でした。その時流に合わせて薬局から調剤薬局へと切り替えていきました。その頃、認知症の親をもつ従業員から、家庭での介護と仕事の両立への相談を受けたことが契機となり、介護事業を始めることにしました。

●従業員のために新規事業を

 そうです。せっかく当社に勤めてくれている方が辞めてしまうのはもったいないことでしたので、それならうちの会社の業務にしようと、思いきって始めました。しかし、始めた当初はなかなかお客様が来てくれませんでした。よく考えると、お年寄りには医療機関に来る移動手段がないことに気づいて、介護タクシーの事業を始めたのです。
 その後は訪問介護、居宅介護支援やデイサービス、訪問入浴、有料老人ホームと次々にニーズが増え、それに応えるかたちで事業を拡大して今に至ります。

●事業を振り返ることで新たなニーズを見つけておられるのですね

 はい。自らの事業を見直すたびに周りの方々から良いきっかけをいただけました。また、常に何かしらの縁でいろいろな方に助けられたことがつながって、今までやって来れたと思っています。
 当社の事業を通して健康や幸福を守りたいという社是(経営方針)は、今まで助けてくれた方々やこの最上地域へ恩返ししたいという気持ちの表れです。

●縁に恵まれるコツは何でしょう

 特に思い当たることは何もありませんが、心がけているのは紹介や助言をいただいた時に、素直にありがたいと思う感謝の気持ちです。

●東京のくらしはいかがでしたか

 東京には10年ほどおりました。確かに都会は便利ですが、私には水が合わないという感じを受けました。
第一、空気も水も最上の方が美味いですよ(笑)。そのためか、東京で暮らし始めてすぐに、どうすれば故郷に戻れるかばかりを考えていた気がします。
 Uターンして、自分で仕事を始めるには、たくさんの知識や技術を身に着けなければいけないと、懸命に頑張りました。働きながら、専門学校には大病を患い体がフラフラした状態で通いましたが、とにかく学ぼうと必死でしたね。当時、あの状態でもやり通せたことを思い出せば、その後の苦労など大したことがないと感じます。

●今の若者のイメージは

 なんとなくおとなしい感じがします。昔の若者のようにガツガツと何でもやってやろうというハングリー精神を、もっと持っても良いと思いますね。自分の目標にがむしゃらに打ち込むとか、夢中になってぶつかっていくという、良い意味での無鉄砲さでしょうか。絶対にやり遂げたいという目標を見つけて、体ごとぶつかっていけるのは、やはり若者の特権ですから。


77c.jpg2012年度入社 栗田周平さん

●どんな仕事でしょうか

 デイサービスで介護事業を担当しています。ご利用者様の朝の送迎と施設への受け入れから、入浴や食事の介助やレクリエーションゲームなどで、日々の生活を楽しんでいただき、夕方にはご利用者様それぞれのご自宅に無事に送り届けるのが主な仕事です。訪問介護の場合は、通院の介助やご自宅の掃除等も行います。
 私は、高校を卒業して1年ほど別の会社で仕事をしていましたが、転職して現在の介護の仕事に就きました。

●介護職を選んだ理由は

 祖父がまだ健在だった時ですが、自分が介護の知識や経験を身につけておけば、将来両親が高齢になったときなど、今後に役立つと考えたのが理由です。7年目になります。

●仕事のご感想は

 始めた当初は、それまで介護経験がなかったので、今と全然違い、ご利用者様との接し方にも戸惑いましたね。また、同じご利用者様でも、体の状態によってその都度対応を変えなければいけないということに、自分の中で悩みました。でも、自分の介護によってご利用者様から感謝の言葉をいただいたり、笑顔を見せてくれた時などには、対応の仕方が良かったという反応ですので、私も嬉しくなりますね。

●気を付けている点は

 ご利用者様は、高齢の方が多いので、そのどなたもが人生の先輩であるという気持ちを忘れないことです。
敬語を使った話し方などに気を付けて、常に先輩に接するような態度でいるということです。

●この会社を知ったのは

 ハローワークの紹介です。研修を受けながら資格もとれるということでしたので、そこに惹かれて入社を決めました。介護関係の資格を何も持たないまま入ったのですが、1年間の研修に仕事として通わせていただき資格を取ることができました。こういう制度はとてもありがたいです。

●後輩へのアドバイスを

 接遇やマナーは、人と接する仕事全てにおいてとても重要ですが、すぐに身に付くものでもありません。
若い頃から気をつけて、習慣になるまで繰り返してみるのが良いと思います。例えば、自宅の電話口での受け答えから気をつけてきちんと話してみる、そんな身近なところから始めてもいいと思いますよ。

【先輩からひと言】
介護サービスは、お年寄りに楽しく日々を送っていただくだけでなく、家族の負担を減らすことができ、仕事、健康を維持できたりすることで、ご家族を支えているのです。

【おしごとPoint!】
お年寄りは人生の先輩。
お年を召されて体は衰えても、自分たちを育んでくれた感謝を忘れずに!