取締役 製造部マネージャー 沼澤明広さん
技術を磨き高付加価値の製品を送り出す
~シャフトモーターで機器の精密な動きを支える~
●どのような会社でしょうか
当社は、自社ブランドで、強力な永久磁石と電磁コイルを組み合わせた「シャフトモーター(直動リニアモーター)」の製造と販売を行っている会社です。シャフトモーターというのは、金属棒に巻き付くようについた部品が、素早く直線的に動くことによって、様々な機械に動きをもたらす部品というイメージになります。
当社のシャフトモーターは、主に産業用工作機械や検査装置など、動く機器の駆動源として、幅広くお使いいただいています。
製品のサイズは鉛筆ほどから、100kgほどの重さのものまで様々ですが、特長として言えるのは、その精度です。機械が指定する位置まで素早く動きぴたりと止まる、狂いはほとんどありません。位置はマイクロメートルのレベルで制御され、その動きを何度でも繰り返せます。
●創業の経緯は
レーザーを使った精密加工機器製造の現場で、お客様から精度が高いモーターが欲しいというニーズがありました。それに応えて、最上町出身の技術者が自らシャフトモーターを開発し、1991年に製造工場を出身地である最上町で立ち上げたのがはじまりです。最上町から、このような技術者が輩出されたということに誇りを感じますね。
●最上で仕事をしてご感想は
当社の取引先は、関東、関西、東海地方が多く、工場見学や視察で来ていただく際に、「こんな山間地に工場があるのか」と、立地にインパクトを感じられるようで、驚いて帰ることが多いですね(笑)。その際は、町内の温泉にゆっくりと泊まってこの地を楽しみながら骨休めをしていただけますので、これは温泉地に会社があるひとつのメリットだと思っています。
最近は韓国や米国などの海外出荷が増え、輸出が増えています。確かに、地理的に港や空港が近くにはないものの、特に不便は感じていません。
当社の製品は、大量生産の大きなボリュームで稼ぐのではなく、技術力で付加価値を高めた製品づくりで利益を出しています。製品の輸送に関して地理的デメリットは少ないと考えています。
●最上の人材はいかがでしょうか
東北人全体に言えることですが、控えめで、外へのアピールが上手いとはいえない人が多いと思います。
これから若い人に求めたいことは、アピール力や積極性の他に、何事にも興味を持つ吸収力ですね。入社後、様々な知識や技術を身に付けてもらって働くわけですから、意欲を持って仕事に向き合えるかどうかは、製品や仕事内容について、どれだけ興味を持つかが大事になると思います。
●興味を持つための工夫は
自分たちが製造している製品がどんな形で世の中で活用され、社会に貢献しているか、または、どういう評価をいただいているかを意識してほしいと考えています。ユーザーの担当者をお迎えしてお話を伺う機会をできる限り作っています。毎日、目の前の図面を見て製品を作っているだけでは、自分の働きが世の中にどういう影響を与えているかはわかりにくいと思います。最終的にどう役立っているかを知り、仕事のやりがいや実感を感じてもらいたいですね。
●今後の展望をお教えください
最近、お客様から提案されたシャフトモーターの新しい使い方が広がりを見せています。これは当社が考えている以上に発展していくものと思います。当社としては、若者に就労の場を提供し、地元に根ざした会社として発展することが一番だと考えています。宮城県方面や、尾花沢を越えて山形方面へのアクセスなど、最上町の地理的特徴をプラスに捉えて事業を進めていきたいですね。
2014年度入社 尾形隆史さん
●どんな仕事を担当していますか
シャフトモーターの製造にあたっては、まず他の企業から、銅線が巻かれた状態のコイルが納品され、このコイルを全て検査し、クリアしたものが組み立て工程に送られてきます。私が担当しているのは、送られてきたコイルを図面の通りに配置し、組み立てることです。その後、配線の部分に樹脂を注入し、仕上げの洗浄を行った後に、各種のケーブルを取り付けます。最終検査を行う前のすべての工程を行っています。
●仕事で気を付けていることは
製品の種類によりますが、時にはひとつのモーター製品に30個以上のコイルが使われることもあります。
このような製品を組み立てる時は、担当している工程で、一つでもコイルの不具合を見落とし、樹脂を注入してしまえば、出来た製品はまったく使えないものになってしまいます。見落としがないように、コイルひとつひとつに常に気を配って作業しています。
●この会社に入ったきっかけは
私は3人兄弟の末っ子で、兄は2人とも進学して家を出ています。高校を卒業し、就職か進学かを決める際に、両親の金銭的負担も考えて、就職することをを選択しました。初めは他地域の会社に就職しましたが、距離が遠く毎日の通勤が大変でしたね。その頃に、当社に勤務していた友人が、この会社での仕事の内容や様子を教えてくれて転職を薦めてくれたのがきっかけで、入社しました。
●会社になじむには
私の場合は、両親から「自分から積極的にやる気を見せていくように」とアドバイスをもらいました。会社では、全員がそれぞれに担当を持ち、とても忙しいので、指示をただ待ってるだけでは駄目ですね。自分から積極的に指示をもらいにいくのが良いと思います。
今度、新しく入った若手社員に作業を教える立場になりました。自分が教えていただいたように指導していきたいと思っています。
●教える立場の難しさは
口で説明するだけではわかりにくいと考え、注意点を赤書きしたマニュアルを作成しました。わかりやすいと喜んでもらっています。教える立場になって感じるのですが、仕事を円滑に進める要点は、「挨拶」と「報告、連絡、相談」ですね。
【先輩からひと言】
シャフトモーターは、製造機器や輸送機器、精密機器など数多くの機械に使われる重要な部品です。日本、海外の経済を支える機器の部品は目には見えませんが、とても誇らしいものです。
【おしごとPoint!】
一つの仕事が終わったら、次の指示が来るのをただ待たずに、自分から聞きにいくなど、積極的に動いてみよう。