46b.jpg園長 阿部 彰さん

子育てを通してともに成長したい
~自立した子ども、広い視野の若者が育つ地域に~

◆どのようなサービスを提供していますか

 0歳から6歳までのお子さんを対象に、保育を行っております。対象は新庄市内にお住まいのお子さんとなりますが、自治体の首長との協定があれば広域で受け入れる制度もあります。
 また、時折最上地域出身の方が里帰り出産のために新庄に戻った際に、上のお子さんを預かることもありますよ。現在は120名のお子さんをお預かりしています。

◆事業の理念を教えてください

 人間の土台をつくる、自立した子どもを育てるということですね。人間は誰しも持って生まれた気質がありますが、その気質を伸ばすか潰してしまうかは、その子が育つ環境に大きく左右されます。
 当園は、将来、自分の生き方を自分で決めて、歩いて行ける人間になってほしいとの考えから、自立した子どもへの成長を目指し、そのための環境を整えています。子どもをめぐる環境として一番大きなのは家庭環境ですが、最も望ましいのは子ども自身に自己肯定感覚を持たせられる環境ですね。そのためには、なるべく子どもがしたいことをさせてあげる、頭から否定せず受け止めてあげることが第一歩です。子どもの行動を受け止めるには、親が持つ大人の価値観ではなく、なるべく子ども目線で考えてあげる、そして一緒に何かをやってみて共感することが大切ですね。

◆なかなか難しいことです

 もちろんそうです。親だって一人の人間ですから、イライラもするし悩んだりもするでしょう。ただ、親自身もそんな自分を肯定してあげて悩んだときには我々のようなところに相談してみるというのも良いことだと思いますよ。

◆最近の親御さんの印象は

 考え方が昔とは変わってきているのかなと思うこともありますね。子どもより自分を優先してしまうことで家庭環境や生活習慣が変化し、夜更かしになったり深夜に買い物に出たりするなど、昔では考えられないような生活スタイルになりました。また、子どもとの時間を大切と思う親御さんが増えたように思いますが、子どもを楽しませるつもりで知らず知らずに親の愉しみや価値観を押し付けてしまっていないか、親自身が時々振り返ってみることも良いと思います。

◆少子化についてはどうでしょう

 ぜひ子育ての楽しさを多くの人に知って欲しいですね。人間は社会の中で生きていて、その一番小さな集団が家庭です。結婚して自分自身の家庭を持ち、さらに子育てを経験すると、考え方や生活スタイルは一変しますし、親自身も他人への思いやりや優しさ、社会への関心など人間的な深みが増すように思います。子どもを通して親自身が気付く事はとても多いのです。

◆若者に何を求めますか

 もっと未来を考えて欲しいと思いますね。自分の世界や自分に関係のある人との関わりだけを大事にするような、どこかこぢんまりとした世界観ではなく、この社会全体が将来どうなっていくのか、そういうことにも眼を向けて欲しい。インターネットで調べて何となく知った気になっている、SNSで繋がって何となく会った気になっている、そんなバーチャルではなく、直に触れ合い経験することでのみ、人間の幅は広がるのだと思いますよ。人とは直接に会って話し、一緒に何かをしたり、作ったり、参加したり、自分の世界をもっともっと広げて欲しいなと思います。
 昔の若者はハングリーでしたが、今の若い方は、淡泊でスマートな印象を持ちます。ただ、これは時代の空気感のせいかもしれませんから、若者だけを責めてもかわいそうな気がしますね。もしも時代がそうなのであれば、それはこの時代を作ってきた我々大人の責任ですから、そういった風潮を変えたいのであれば、若者よりもむしろ我々大人が、社会や意識を変えていくしかないのだと思います。


46c.jpg平成25年度入社 富山 咲さん

◆この保育園に入った経緯は

 私は新庄の普通科高校出身ですが、その頃には将来は保育士になると決めていました。インターンシップでもこちらの保育園で実務を体験したいと希望を出しましたし、夏休み中にも仕事を体験してみたいと、自分から連絡をとりました。
 高校を卒業した後は、山形にある短期大学の子ども学科で2年間学びまして、その頃のインターンシップでもこちらに伺いまして、その時も、園長先生にいずれこの保育園で働きたいと伝えました。

◆とても積極的ですね

 はい(笑)。どんどん自分を売っていかないと夢はかないませんよ。それに、面接だけでは伝わらない部分もあります。特に保育士は、実際にお子さんとどう関わっているのかは面接ではわからないんですね。子どもの前でしか出ない表情もありますから。
 私の場合はインターンシップの機会を活かして、子どもと楽しく接している自分を園長先生や先輩に見ていただき、自己アピールしました。

◆子どもと楽しく遊ぶイメージで保育士を目指す人も多いと聞きます

 はい。確かにきっかけとしてそういうイメージを持って保育士になり、実際の大変さとのギャップに戸惑ってしまうことはありますね。子どもたちが楽しく遊んだり学んだりするための裏方として、私たち保育士が日々行っている仕事の多さは、実際にこの仕事に就いてみて改めて大変だなぁと実感します。楽しく子どもたちと遊ぶことはもちろん大切ですが、それは保育士が担う仕事の中のひとつなんですね。

◆おおまかなスケジュールは

 登園後、10時頃は自由遊びの時間です。その間は、子どもたちがやりたいことを実現するために、いろいろな物や道具を準備したり作ったりのサポートをしています。自由遊びを終えたら朝の会があり、子どもたちがあったことや困ったことを発表しあいます。
 その後に昼食の準備として配膳を行います。 昼食は、私たちも一緒にとりまして、その後は午睡の時間で私たちの役割は寝かしつけです。いつもは14時30分まで眠りますね。その間、休憩も取りますし、お子さんごとの連絡ノートに書き込んだり、お便りを挟みこんだりなど保護者とのやり取りの時間に当てますし、その他に、様々な行事の準備作業も行います。
 目覚めてからは、おやつの時間で、私たちは布団を片付けてから、一緒に食べます。その後に清掃があり、午後のお集まりがあります。その頃から18時頃まで保護者の方のお迎えが続きまして、その後に部屋のお掃除をしてから、遅番での退社は19時過ぎになりますね。

◆とてもお忙しいんですね

 はい、とても(笑)。でも、夢見ていた大好きな仕事に就けて、毎日がとても充実しているんですよ。

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園庭で園児とのふれあい

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行事で使う飾りなどを手作りします