施設長 伊藤廣好さん
より質の高い福祉サービスをめざして
~障がい者支援で地域に貢献~
●どのような施設でしょうか
当園は、障がいをお持ちの方の生活支援を目的としている障がい者支援施設です。一般的に、障がいは身体、知的、精神の3種に分けられていますが、当園では、主に身体障がいをお持ちの方を対象とし、他に知的障がい、精神障がいの方も少数受け入れております。
当園を運営している社会福祉法人は1974年に設立され、その翌年から、東北で最初となる身体障害者療養施設を開所しました。2016年4月には建物を新しく建て替え、現在の場所に移転しました。
もともとは舟形町が設立した公設民営の施設ですが、受け入れる利用者は舟形町の方に限りません。現在では、利用者の出身地は山形県内23市町村に及び、その他にも東京や愛知などの他地域から入所された方もおります。入所のかたちで長期間ご利用されている方は105名で、その他に、ショートステイや日帰りのサービスを利用されている方もおられます。
●職員が多く働いていますね
はい。社会福祉法人の全体では現在約200名の職員がおります。その内、当園ではパートタイマーも含めて約90名の職員で業務にあたっております。
当園は障がい者生活支援の機能を持った施設で、業務は24時間となります。そのため夜間には、看護師を含め最低でも7名の職員が夜勤で対応しております。日中の業務も含めますと、多くの職員数が必要となりますね。
●雇用は地域に経済的に良い影響を与えていますね
はい。当法人の目的として、社会福祉の増進に寄与することの他に、雇用を通じて地域のために役立ちたいと考えております。現在、舟形町から約5割、新庄市から約4割、その他の最上地域から約1割と、すべての職員を最上地域から雇用しています。当法人を志望した職員のなかには、「障がい者支援と高齢者介護」の両方を経験できることが、自身の介護スキルを高められると考えて、就職を希望した人もいます。
●障がい者支援や高齢者介護の需要は今後も増えますか
そのように考えています。高齢の方の世話をご家族だけで担うのは大変なことです。地域全体が高齢化していくなかで、介護のニーズは今後も増えていくと思います。
高齢者介護サービスは、様々な施設が増え充実してきていますが、障がい者支援サービスは障がい児支援など、まだ足りないと思っています。当園が果たす役割は今後も重要であと考えています。
●介護や福祉を目指す若者にはどのような資質が必要でしょうか
第一にコミュニケーション能力です。日々の仕事のなかで、利用者の方がどんなことを伝えようとしているのか、また何を望んでいるのかを、的確に把握することが大切です。そのために、笑顔で利用者と常にコミュニケーションを図り、分かり合うことが求められますね。
さらに、利用者の要望に気付いたら、すぐに行動に移すことが大切です。利用者が喜びを感じられるような「質の高いサービス」を提供できるように、支援者や介護者として感受性と行動力が大切だと考えています。
●若者に求めるものは
私は、人は30歳くらいまでの問にその人の個性やカラーが決まってしまうと思っています。ですから自分自身がなりたいと望む自分のカラーを決め、30歳までの間に努力を怠らないことが大事です。もちろん30歳を過ぎても努力を続けることは必要ですが、何物にも染まっていない若い頃の努力は、自分を育てる上で、とても影響が大きいと思います。
また、小さい事をおろそかにしてはいけません。小さい事をきちんとできない人は、決して大きな事もできません。小さな事の確実な積み重ねが、人間を作るのだと思っています。
2011年度入社 伊藤佳奈さん
●どのような仕事ですか
現在、障がい者の生活支援員として仕事をしています。仕事の内容は、利用している方の食事や排泄の介助など、生活全般に直接関わるケアを行います。また、職員1人あたり、3人の利用者を担当し、ご家族に施設での日々の様子をお伝えできるように記録をつけています。
光生園では、身体障がい、知的障がい、精神障がいを持つ方々を受け入れており、入所者は20代から90代までいらっしゃいます。
●この職に就いた経緯は
曽祖母が舟和会が運営するホームへルパーサービスを利用していました。私が小学生の頃、そこでの曽祖母とヘルパーの様子を見て「介護の仕事っていいな」と思ったのがきっかけです。
高校卒業を控え進路を決める頃には、周囲からは看護の仕事も勧められたのですが、介護福祉士を目指して山形市の短大に進学することにしました。その当時、私はまだ看護師と介護福祉士の仕事の大きな違いはわからなかったのですが、短大での実習の時に、介護の方が利用者の方と接している時間が多いと感じ、それが結局やりがいへとつながる福祉の仕事の魅力だと思いました。介護福祉士を選んで良かったと思っています。
●社会福祉法人に入ったのは
もともと、地元に戻って働きたい、と考えていました。自分が介護福祉士を目指すきっかけを与えてくれたこの施設で働きたいと、実習の時から担当職員の方にはっきり伝えていました。家族に協力してもらい求人情報を常にチェックしていたところ、施設の増床で職員募集があり、そのタイミングを逃さずに入社することができました。
●福祉や介護の分野で働きたい方に
介護の仕事を、きついとか給与が安いというマイナスのイメージで捉えている方も多いと思います。もしかしたらニュースなどメディアでの取り上げられ方の影響が大きいのかもしれません。
若い人には、先入観やイメージだけで福祉や介護の仕事を判断せず、インターンシップや実習で体験してみると、そこにはまったく違った見え方があるということを知ってもらいたいです。何事も自分の眼や肌で確かめて視野を広げることは、自分の将来の進路を選択する上で、きちんと判断する材料を得るために大事なことだと思います。
【先輩からひと言】
障がい者福祉や高齢者の介護で提供されるサービスには、利用者の希望に応じて選択できるように様々な種類があります。勤務する職員には多種多様なスキルが求められます。
【おしごとPoint!】
福祉や介護は、障がいをお持ちの方や高齢化する地域を支える大事な職業です。やりがいや魅力を感じられる仕事ですよ。