53b.jpg代表取締役 小関一也さん

地元の森林を活用し林業を守りたい
~樹木の伐採搬出事業で森林資源利用産業を支える~

●どのような会社でしょうか

 林業で丸太を生産しています。主に国有林の杉を伐採して運べる寸法に切った後に搬出する仕事です。その他に、個人や企業、団体が所有する民間林で作業することもありますし、冬期間は当社が所有する山からも丸太を生産しています。

●材木は何に使われますか

 材木として切り出す場所によって使われ方は様々です。柱などの建築の材料の他にも、建設や建築でコンクリート工事の型枠に使うコンパネなど、合板の材料にもなります。最近では、バイオマス発電の燃料としても使われています。

●創業はどのような経緯で

 創業したのは私の父親ですが、父はもともと農家を営んでおりました。本業の農業以外の収入のために、農作業のない冬の間に林業も手掛けていました。今と同じように材木を切り出していたのですが、機械がない時代です。運搬に馬車や馬そりを使っていました。
 時代が進んで、ブルドーザーなど建設機械を導入して、林業の規模を大きくした頃に、その建設機械を夏の間にも有効利用しようと、圃場整備(田の整備)などの仕事も行うようになりました。やがてそれが本業となり農業は辞めることにしました。
 最上地域の圃場整備が一段落した頃を機に林業専門の会社となり、事業を続けております。

●丸太を切り出すのは大変ですね

 確かにそうですが、今ではすべてが機械化されていますので心配はいらないですよ(笑)。主な作業は伐採と搬出ですが、実はその前段階が大変なのです。伐採する林には重機やトレーラーが入る道路があるとは限りません。全く無い場合も多いのです。そこで、依頼者以外にも、役所や法務局に林の所有者を確認し、搬出道路の設定に関わる方すべてから許可を得なくてはなりません。中には共同所有のケースがあったり、樹木が生い茂り図面と様子が変わっていたりすることもあります。
 今、戦後各地に植林された大量の杉が伐採時期を迎えていますが、切り出せなければ単に生えている木に過ぎず、利用できる資源とは呼べません。搬出道路の建設は、樹木を資源にするための大切な仕事です。

●どのような展望をお持ちですか

 これからも木材は様々な面で使われ続けていくことは間違いありません。再生可能エネルギー源という新しい利用価値も出てきましたので、林業の今後は明るいと考えています。森や木を育てて森林資源として利用する林業は、時間のスパンが長い産業です。林業を絶やさないためには、それに携わる人材が途切れないように、人材の育成もし続けていかなければいけません。産業としての林業を守るためにも、自社を存続させるためにも、人材を育てることが一番重要だと考えています。
 また、林業のような山仕事はまちなかにいる人からは見えない職種です。ですから、この仕事の大切さや社会に役立っている側面を、私たち林業者が自ら積極的にアピールしていく必要があると思っています。

●どのような若者を望みますか

 当社は最新鋭の機材で機械化していますが、外で働く仕事ですから、季節や天候など外的環境に影響を受けます。そのため、外の仕事が気にならないことと、ねばり強く仕事をしてくれる人が望ましいですね。また、やる気さえあれば、機械を扱う資格や経験は求めません。仕事をしながら会社が資格取得に向けて支援しますので、ぜひ積極的に林業の世界に飛び込んでほしいですね。


53c.jpg2010年度入社 中川一誠さん

●どんな仕事を担当していますか

 重機オペレーターとして、樹木を切り倒す「伐倒」と、切った材木の状態を見て選別する「選木作業」を担当しています。特に選木は手間がかかり、材木の質、種類ごとに見極めながら、A材・B材と分けていく仕事です。

●この仕事を選んだきっかけは

 私は、小さい頃から重機のオペレーターに憧れていました。幼い頃には、近所の人が大型の重機を運転している姿を見て、脇に乗せてもらったりしました。工事現場のそばを通る時には、建設機械がとにかく気になったりと、昔から好きでした。
 高校生になってから、会社見学があり、作業現場を見た時に、様々な重機に触れる機会がありました。それらを扱う仕事が楽しそう、やってみたいと思ったことが入社のきっかけです。卒業後に入社し、現在で8年目になります。

●仕事を始めた感想は

 入社した当初は、まだ林業について良くわかっていませんでした。伐倒作業では、自分が思った方向に倒せなかったし、これまで経験したことのないことばかりなので、本当に大変でした。周囲の先輩の仕事を見て、少しずつ覚えるしかないと思って努力しました。
 林業は、知識や理屈だけではなく現場で経験を積まないとスキルは身につきません。私の場合は、とにかく周囲のやり方を見ながら覚えることに集中しました。仕事に慣れてきてからは、自然相手のこの仕事は自分に合っていると感じてきました。大好きな重機に触れて、毎日がとても楽しいですね。

●社会人として気を付けている点は

 仕事を途中で投げ出すのは、社会人として一番良くないことです。できないならば、できるようになるまで最後まで取り組むことが大事だと思います。それには円滑な人間関係や周囲の協力が必要ですから、まずは挨拶や返事はおろそかにしないことが大切です。特に、わかっていない時には空返事をせず、質問をしてきちんとその場で解決できるようにしていくことが重要だと思いますね。

●入社の際にどんな準備を

 チェンソーや道具などは会社が揃えてくれます。入社の時には作業着や雨具を買ったぐらいで、特に気構えもせず、楽な気持ちで入ってきたと思います。そのくらいの方が長く続けられるのかもしれないですね。

【先輩からひと言】
「他の仕事では経験できないことが多く面白さがあります。携わっていることに誇りも感じていますよ。」

【おしごとPoint!】
「林業」には、原木の切り出しや加工、販売など様々な職種があります。
山形県、特に最上郡は森林資源が豊富なので樹木を有効活用していかなければなりません。
最近では、発電のための燃料としても使用されています。