代表理事 サービス管理責任者 齊藤千惠子さん
誰もが幸せに暮らせる地域に
~最適な障がい者支援サービスを複数の施設を展開~
◆どのような団体でしょうか
障がいをお持ちのお子さん、特にお子さんが発達障がいを持っているお母さん方が集まって、自分たちの子どもたちの遊び場づくりの活動のをされていたのですが、その活動を母体として発足した団体です。
平成13年には、障がいのある子どもたちのための学童保育園がくれよんはうすとして開園しました。私はその当時から、くれよんはうすに保育士として関わるようになりましたが、その後、福祉制度改革に伴ってくれよんはうすも学童保育から障がい福祉サービスへと変わっていきました。
基本的には、法律で受け入れ可能な人数定員が10名までと定められていますので、受け入れるお子さんの数が増えてくるにつれて、平成16年に青空はうす、にじいろはうすと増やしてきました。
現在3つの施設があることによって、幼稚園から小学校低学年、小学校高学年から中学生、そして高校生以上と、入所対象者の年齢に合わせた3施設で最適なサービスを提供できるようにと工夫しています。
このさくらはうすは、高等部であるくれよんはうすを巣立ったお子さんの受け皿としてのニーズを反映してできた施設で、平成22年に開所しました。入所されている方の最年長は70歳を超える方もいらっしゃいますので、当団体が運営する事業は、赤ちゃんからお年寄りまで対象年齢を広くカバーする障がい者施設ということになりますね。
◆団体の理念を教えてください
昔と違い、現代は障がいを社会のみんなでサポートしようという意識に変わってきました。それはとても大切なことだと思います。障がいの有無に関わらず、誰しもが幸せに暮らしたいですよね。そういう当たり前のことを実現するために、今後もしっかりと運営していきたいと思っています。
◆最上地域で展開されてご感想は
最上地区の福祉関係のサービスの多くは新庄市内にあります。当団体の施設も新庄に展開しているのですが、入所されている方は最上全体にいらっしゃいます。冬期間の送迎などは、時間がかかったり危険が伴なったりもしますので、できれば他町村にも同様のサービスを提供する施設が出来てくれれば、障がいをお持ちのお子さんを持った親御さんたちの悩みや心配が、かなり軽減されていくのではないかと思います。
◆これからの展望は
私たちが接している方たちの中で特に障がいの程度が重い方を対象としたグループホームの開設を、現在検討しているところです。グループホームは職員が常にいながら24時間対応ができますし、よりきめ細やかなサポートが行えるのですが、そういった福祉サービスは最上地域にはまだ少ないのです。
◆職員を志す方にはどういった資質を求めますか
入所しているお子さんには、自分の表現やコミュニケーションが難しい方が多いんですね。ただ、彼らはうまく表現できないだけで、内側に持っている想いはたくさんあるんです。そういったものを上手に汲み取れる方がいいですね。中には、意欲にあふれて自分の思いだけで来られる方もいますが、むしろ一緒にいてホッとするような方、子どもたちと張り合ったり、受け止めたり、柔らかくコミュニケーションできる方が良いと思います。
◆柔らかなコミュニケーションとは
世の中には様々な考え方や境遇の人がいらっしゃいます。そういった複雑な社会を生きていく上で、必ずしも正しいか誤りかといった二元論で割り切れることばかりではありません。時には、誤りや間違いをそのまま受け止めることも大事なことでしょう。そんな柔軟さや寛容さを失くしてしまっては、障がい者だけでなく健常の方も生きづらい世の中になるのではないかなと思います。
柔らかなコミュニケーションとは、まずはその人のそのままを受け入れることです。そんな懐の深さや、考え方を持つことは、障がい者福祉に限らず、社会を営んでいく上でとても大切なことのように思います。
平成20年度入社 日向幸子さん
◆どんな仕事を担当されていますか
今は就労支援と生活介護です。このさくらはうすでは入所している方の就労として、電子部品加工とお菓子の製造販売、野菜の生産と販売の仕事をしておりますので、その支援ですね。
◆生活介護とはどういう仕事ですか
生活介護の仕事は、入所された方々に朝から夕方まで、お仕事を含めての生活全般に関わる支援です。
私が担当しているのは、リサイクル活動やダイレクトメール便の宛名を貼る作業や、仕入れたお豆腐の販売などです。その他に製造したお菓子を納品に行ったりもします。
◆入社したきっかけは
私は短大を卒業後に、保育所で保育士をしていました。その後、養護学校の指導員として、寄宿舎で働いておりましたが、こちらのお仕事に出会い転職しました。
◆お子さん相手の仕事と障がいをお持ちの方に接する仕事は違いますか
職員が構えてしまうと大変と感じることもあるのですが、みんなと関わっていくうちに、いつの間にかその構えが無くなったのでしょうか、私としては何も違いはありません。小さなお子さんも障がいをお持ちの方も、すごく心が綺麗な感じがしますね。
◆仕事で気をつけていることは
障がいをお持ちの方に限らず一般のお子さんも同じだと思いますが、お子さんと関わるときはその家族のこともしっかりと見据えていかないと、知らず知らずのうちにお子さんを預かるこちら側の事情を押し付けるだけになってしまいます。そうならないように、障がい児のお子さんによりわかりやすく伝える方法は何かを常に考えていますし、同様に、そのご家族の方に伝えるにはどんな方法が一番良いのかを心がけることを大切にしています。
◆思い出に残っているエピソードは
どうしても私になついてくれないお子さんがいたんですね。
今思えば、私自身がその子に対して知らずに構えていたんでしょう。それを感じて、距離を取っていたんだと思います。その後、私は自分の出産がきっかけとなったんでしょうか、構えることがなくなり、その子にも自然に接することができたのだろうと思います。その頃から、ふっと近寄ってきてくれて、自然に接することができるようになったんです。それまで私は、どんなお子さんが来ても大丈夫という自信がありました。でも、それが知らないうちにおごりとなり、子どもが近づけない壁を作っていたのかもしれません。
◆小さなお子さんや障がいをお持ちの方と触れ合うこの仕事では、より自省的な面が必要なんですね
そうかもしれません。子どもや入所者の方は、自分自身の内面を映す鏡のような気がします。彼らはとても純粋で、心の中も大人の取り繕った部分も、簡単に見透かしてしまうんです。ですから何事もごまかせないですし、嘘もつけません。そういうとても難しい仕事ですが関わる職員の心の成長も促してくれるとても素敵な仕事だと思います。私自身もこの仕事が大好きですし、何より天職だと思っていますから。
就労作業の手順を確認
業務日誌などの書類書き込み