26b.jpg代表取締役社長 宮田千治さん

地域を守る意識が成長につながる
~いち早く最上に拠点を展開し他分野へも進出~

◆どういう事業を行っていますか

 事業を二つ展開しております。一つは半導体デバイスを作る装置を製造する事業、もう一つは山梨の本社が手がけている放送事業です。これはケーブルテレビで、地域での放送と電話やインターネットに関する通信サービスで、開局して10年ほどになります。
 私は3代目の社長で、私の代から製造業だけでなく、サービス分野へ挑戦を始めました。

◆新庄に工場を設置したきっかけは

 当工場は昭和47年に開業しまして、新庄市内の誘致企業の第一号にあたります。当時の副社長が工場開設を牽引したのですが、この方が山形出身だったことや、新庄市長からのお誘いを受けたことが重なって、この工場の立ち上げとなりました。

◆最上地域のご感想は

 最上の方は粘り強いし、とても絆を大切にする人たちばかりです。このような特質は精密なものを作る仕事や細かいものを組み立てる作業に合っていると思いますね。私も風土が合うようで、最上に来ると安心します(笑)。

◆若い社員が製造技術の向上に熱心に取り組んでいるとお聞きしました

 はい。複雑な機械を製造するという仕事の中身は、マニュアルや説明書など、文字では伝えきれないものがあることも確かです。経験して得たノウハウは、それを知っている人と若い人が一緒に仕事にあたることでしか伝えられないと思いますね。先輩と長く付き合いながら、経験したことを、若い人たちが自分なりに噛み砕いて吸収していくことで、次第に自分のものにしていけるのだと思います。

◆この会社を目指す方に何を求めますか

 日頃から同じ基本的な価値観を持つ方を集めたいと考えています。製造業はたくさんの社員がものづくりに関わっていますから、ミスが起きることは避けられません。基本的に人間はミスを犯すものですので間違えたこと自体は責めません。気をつけなければいけないのは、ミスしてもいいように段取りを行っておく事、間違えるリスクへのマネージメントを行うことです。
 製造業を営んでいく上で、人間は間違いを犯すものという前提でそれを許容して行く価値観、そういったものを重要視しています。ですから、失敗してしまったら、次に同じ失敗をしないためにどうしたら良いのかをしっかりと考えられるような能力が欲しいですね。

◆どんな方がそういう能力を持てるのでしょうか

 それは素直でないとできないことだと思いますね。間違いを受け入れる、助言に耳を傾ける、自分の考え方ややり方を見直す、これら全ては素直であることが大切です。実際、仕事の上でも素直さを持った人は必ず成長していますね。

◆これから若者に期待する点は

 今の若い方は、あらゆる種類の情報を即座に手に入れることが出来ますし、実際に持っています。私の時代は情報源は図書館しかなかったですから、それがとてもうらやましいですね。できれば私は今の時代に学校に行きたかった(笑)。ただ、その膨大な情報をどのように活かしてどんな行動につなげるかについての応用力がさらに大事になります。現代は若者が中心となって産業を起こす時代になりつつありますから、これからは今までと違った展望が開かれると思いますね。
 ここで心にとどめておいて欲しいのは、ローカルとグローバル、地域と世界のふたつの視点の順番を取り違えないで欲しいことです。私は、社員に対して、まずはローカルで頑張れと言っています。頑張れば自然にグローバルへと軸足が移っていくはずですから。
 ネット時代は、なんでもとにかくグローバルへと踊らされてしまいがちですが、若い方には、目線は世界に向きつつも、まずは地に足をつけて自らの地域を守って欲しい。地域を守るという意識を持った人がどれだけいるかで、その地域自体の盛衰も決まると思いますし、最上で頑張って得た成果は、自然に世界へとつながっていくはずです。


26c.jpg平成19年入社 阿部裕一さん

◆どんなお仕事ですか

 主に配電盤の製造を担当しています。私は、最初はアルバイトで、当工場に勤務しまして、その後、高校を卒業する頃に正社員になりました。入社して9年になります。最初のアルバイトはハローワークでこちらでの仕事を見つけまして、応募しました。高校3年生になり就職活動をする時も、すでにこちらの会社でのアルバイトの経験がありましたので迷わず志望しました。
 私は、もとからモノを作ることが好きでしたので、当初から製造業に就職すること以外は考えていませんでしたね。

◆仕事を始めた頃は大変だったことはありますか

 やはり初めは何もわかりませんでした。でも、先輩方にいろいろと教わる時には、どなたも優しく教えて下さいました。仕事をしていても和気あいあいとした雰囲気で指導して下さりとても楽しく仕事をおぼえることができました。今でも、仕事仲間にはベテランの先輩方が多く、私は若手の年齢に入ります。私より若い後輩は数人おります。

◆後輩には優しく接していますか

 いえ、厳しく教えていますよ(笑)。後輩は、分からない点はすぐに聞いてくれますし、いろいろとコミニケーションすることで仕事上の問題や解決の方法をうまく共有できていると思います。でも、すぐに聞いてしまわずに、対処方法を一旦自分なりに考えてみることを習慣付けて欲しいとも思いますね。そういった自主性が少し足りないのかなと言う感想もあります。

◆他に後輩世代に欲しい点は

 忍耐強さですね。仕事についてもう少し我慢強さがあれば、すぐ辞めたり投げ出したりしないで続けられるのではないのかとも思います。この点に関しては、今の後輩はよく付いてきてくれて、頼もしさを感じています。せっかく就職が決まって、仕事を始めても短期間で辞めたりする人もいると聞きますから、それはもったいないことだと思いますね。先輩や上司だけでなく、取引先やお客様からさらなる要望をいただいた時でも、挫けることなく、なにくそと食いついていくようなガッツがあれば、どんな仕事でも絶対に良い影響をもたらしてくれると思います。そんな負けず嫌いなところを心のどこかに持っていた方が、仕事を長く続けられると思います。

◆最上はどんなところですか

 私は釣りが趣味で、休日には最上の各地に行きますが、やっぱり自然が豊かですよね。とても癒されます。
でも、自然はもう十分すぎるほど豊かですので(笑)、後は街中に商業施設や娯楽施設が増えれば、若者がもっと増えるのかなと思います。
 最上には、仕事する場があって、買い物をする場があって、さらには豊かな自然を舞台にして遊べる場所がありますから、暮らしていくには最高ですよね。その良さをもっと高めてもらえたら嬉しいですね。
 それに、私の妻も釣りが好きで、よく一緒に出かけます。こんなふうに、同じ趣味を持った異性と出会えるかどうかも、将来は地元に残って暮らしていこうという動機として大きいと思います。

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機器の組み立て工程

26e.jpg部品発注状況の確認