代表取締役社長 阿部孝義さん
最上の若者が活躍する企業に
~自動車部品で世界的シェアを獲得~
◆どんなものを作っていますか
当社は、主に自動車用の部品とデジタルカメラに使う受光部のベース部品を生産しています。特に、世界的にシェアが大きいのは油圧パワーステアリング用のシャフトですね。
その他にブレーキを制御するABSのパーツやカーエアコン用の部品も作っています。最近ではエンジンとトランスミッションをつなぐ部分であるトルクコンバータの取引も始まりつつあります。
当社は昭和58年に新庄に工場を展開したのですが、その時には主に半導体部品を手掛けておりました。 その後、企業グループ内で事業の再編成をした際に、現在のような自動車部品と中空パッケージと言われる電子関係部品の二つを事業の柱にするようになりました。
◆新庄に展開した経緯は
80年代は日本全体が景気が良く、いろいろな企業が拡大していた時代でした。その頃、当企業グループでは、すでに尾花沢で半導体事業を展開していましたが、北村山地域を対象にしていては人材の確保が難しくなり、新たに最上地域から人材を得たいと考え移転してきたというのが、新庄市に進出した理由です。
まずは、昭和58年に鳥越地区に工場を設け、その3年後に新庄中核工業団地に移転する形で進出しました。
この工業団地への誘致を受けた企業の第1号が当社です。また、当社の正社員は、ほぼ全てが新庄最上地区の方です。
◆最上人の印象はいかがですか
周りの人との繋がりを大事にするという気風があると思いますし、辛抱強くて頑張り屋という面もありますね。当社の始業時間は朝8時10分ですが、その時刻にはもうすべての準備を終えていて、すぐに作業が始められる段階になっているんですね。これは、真面目で実直な気質でなければ出来ないことです。
また、当社は若い人を毎年のように採用しておりますが、これは製造技術やノウハウの伝承を考えた時に、社員構成の世代の間があまり開かないようにとの配慮からです。会社を継続していくためには、製造技術やノウハウを伝承していくことが必要ですし、これは先輩から後輩へ直接受け継がれるものですので、さほど違わない年齢同士、日々の業務の中で上手く伝えていけるようにという考えに基づくものです。
◆今後の目標は何でしょう
当社の目標は、新庄最上地域で優良企業であることです。さらに、お客様より受注いただいた仕事を地元で雇用された若い人が対応していくことです。そのためにも、仲間同士で明るく清潔で安全な職場の実現も大切ですね。
また、きちんと挨拶することは社員同士のコミュニケーションを密にするための具体的で大切な方法と考えております。
◆これから地域との関わりは
今考えているのは、工業高校で、学生の皆さんが通常教わる範囲を超えて、実際の製造現場で働く我々が何かを教えるということです。教育現場と連携して我々のような企業が学校に出向き、実際的な技術や社会に出てモノ作りをする意義について、若い人により深く知っていただくということは、地域の教育と企業活動の双方にとってメリットがあると考えています。
◆若者に何を求めますか
明るさとやる気は、どの職業に就くにも必要なことだと思いますが、特に我々のような製造業であれば、業務として与えられた仕事に対してもっとこうしたら良くなるのではないか、もっとこんな方法が試せないかといった課題意識を持つ姿勢や、改善への発想力を持つことがとても重要になります。もちろん、最近まで学生だった若い人が、いきなりそのような能力を持てるかというと難しいものがありますから、就職し業務に就いてからそういう力をつけるために、まずは同僚や先輩と気兼ねのないやりとりができるようなコミュニケーション力を身につけることが必要になると思いますね。その上で、良い例をどんどん真似ながら吸収していくのが成長の早道ですから。
平成26年度入社 大場誠広さん
◆どんな仕事を担当されていますか
現在は、自動車の自動変速機にあるトルクコンバーター部品の製造を担当しています。この業務を担当する課に配属されて半年ほどですね。
この部署では、生産高としての目標個数が決まっていますので、その分は製造する必要があるのですが、その個数とともに品質を意識しながらですので、そのバランスが難しいところです。
部品の性質上、ほんの僅かでも傷がついてしまえば不良品になりますので、生産のスピードを上げながらも、常に品質に気を遣うことが求められます。
私は高校を卒業してすぐにこちらの会社に就職しました。その後、宮城県にあるトヨタ自動車の学園で1年間学んできました。ここは全寮制の学園で、ここでは工学などの知識や生産機械を扱う技術を学ぶのはもちろんのこと、毎日の朝礼で団体規律訓練もありました。整列して右向け右のような団体行動の訓練なのですが、慣れるまで大変でしたね(笑)。
この学園の研修では、生産設備の保全に関する知識や技術を徹底的に叩きこまれましたので、途中でかなり辛い思いもしました。その時に会社の先輩から励ましを受けたことがありました。開き直ってみろとのアドバイスをいただいたのですが、そこから気持ちがかなり楽になりましたね。
◆長期間の研修もあるのですね
この学園に1年間学びに行った人材は、当社では私が第1号です。他に、今年も若手の社員が行っておりますし、今後も順次そういった研修が進んでいきます。私と同様に学んできた社員が増えることで、会社全体の生産能力がさらに向上できるように、経験を活かして貢献したいと思っています。
この会社では、私たちのような若い社員に対しても、様々な技術や資格を習得させたいという考えから、研修の機会が与えられます。それは、会社全体の能力向上だけでなく、社員一人一人が、人財として経歴を磨くことへの配慮ですので、大変ありがたいことと思っています。
◆後輩へのアドバイスを
私の場合は、就職を考える時期に会社を決める際、気をつけたことは、仕事の内容や賃金よりも、職場の人間関係でした。インターンシップでも、こちらの仕事を体験させていただいたのですが、その時にも職場が明るくコミュニケーションが取れている様子を見ることができ、とても働きやすそうだなという印象を受けました。このように、職場見学やアルバイトの形でもいいので、あらかじめ職場の雰囲気を知っておくことも大切ですし、その時には積極的に会話をして、どんな人が働いているのかなど、気になることを聞いてみるのが良いと思います。
また、入社した後は、相談できる人を早く見つけておくことも大事です。社会人になり、新しい環境に慣れて仕事を覚えるまでいろいろ悩みもあると思いますが、見つけておけば一人で抱え込まずに済みます。自分から動いて、自分にとっての良い職場にしていくことが大事ですね。
製品の生産状況の確認
工作機器の保守調整作業