17b.jpg取締役専務 星川新一さん

モノづくりに発想力と独創性を
~コネクターから車載部品へ時代とともに展開~

◆どのような会社でしょうか

 当社では、NC自動旋盤やマシニングセンター、プレス機械などを使って、部品加工を行っております。製品は自動変速機用の油圧制御に使われる部品などの車載部品が半数を占め月産約100万個ほどを製造しておりますし、その他に通信用同軸コネクターなど組立て品も造っています。以前はコネクターを主力としていましたが、 ITバブル以降は車載部品にシフトしました。
 当社の創業は昭和47年ですが、その当時、国全体で電話網の整備が盛んに行われました。電話交換機の中には多数のコネクター部品が使われていますので、その需要を見込んで増産しようとした際に、親会社の生産工場として発足したのが、当社の設立の経緯です。
 私は金山出身で工業高校を卒業後に、新庄の家具メーカーに就職して大阪で営業をしていました。当時の仕事は大変面白く充実していましたから、地元に戻りたくなかったんですが(笑)、私自身は長男ということもあり、この会社が金山にできると聞き、学校で学んだことを生かせるのではないかと思い、転職する形で帰ってきました。創業当時からおりますので、43年間勤めていることになりますね。

◆最上で仕事するご感想は

 最上地域は農業が盛んで、ここ金山も農業が主要産業の町です。ですが、私個人としては、多人数の方が暮らしている最上地域を農林業だけで成り立たせることはできないと思っています。農林業に工業が加わってこそ、初めて人々の生活が成り立つくらいの収入を得ることができますから、そうやって産業間のバランスを取りながら地域全体が発展していく、共生のかたちが大切だと思いますね。その共生のためには、各々の産業の性質を理解することや、互いのコミュニケーションが何よりも大切と考えています。
 当社の兄弟会社に金山ケミテックという企業がありまして、ここでは部品のメッキ加工を行っています。この工場を設立する際、近隣農家のご理解を得るまでに大変苦労したことがありました。
 農家の方は仕事柄、環境保全をとても気にかけ大事にされています。その一方で工業の発展のためには工場が必要なのですが、その設立や展開は農業者に環境への懸念を抱かせることにもなりかねないのです。
 地域の発展のためには農業も工業も大切なものですから、互いの存在を認め共生していく必要があると、その時に強く思いました。

◆若い方に対する感想は

 独創性が低いという気がします。考え方や解き方がすでに分かっていて、それを覚えて応用することで問題解決に向かうという能力も大切なのですが、今までに無いようなものの見方や考え方をする発想力や独創性は、我々のようなモノづくりを仕事とする業界ではとても大事な力となりますから、そういった独創性をもっと磨いていただけると良いと思います。
 当社の入社試験には頭の柔らかさを図る設問も設けておりまして、どれだけ柔軟で多面的に考えることができるかを見ています。ですから当社の社員にはアイデアマンが多いと思いますよ(笑)。モノの製造の仕方に対しても、またトラブルが起こった時の解決方法においても、こうしたらどうだろうというアイデアを常にみんなで出し合うために、豊富な発想力を持った方が望ましいです。

◆どうすればそういった人材が育つでしょうか

 頭に浮かんだこともそのままに口に出せるような素直さという、持って生まれた資質もあると思いますが、発想力のほとんどは、実際に仕事に就いて、日々の業務の中で同僚や上司とともに磨いていくものだと思います。当社は、そういう自由に発想を出せる雰囲気や、挑戦を促して新しいモノを生み出そうという勇気を持てる社風を大切にしています。そういった創造性が豊かな若者に、ぜひ来ていただきたいですね。


17c.jpg平成13年度入社 小野生真さん

◆お仕事の具体的な内容は

 当社は同軸ケーブルのコネクタや車載部品を製造しておりまして、私は、製造された製品を他の各処理のラインに渡したりするなどの製造管理の役割を行っています。作業をしながらライン全体の流れを常に見ているという仕事ですね。
 私は学校を卒業した後、木材加工会社に勤めておりましたが、その後こちらに転職しました。以前の木材加工会社では体を使ってよく動く職種でしたが、こちらの会社は加工の精度に千分の数ミリという微細さが問われ、それには気温も関係しますので空調も完備されています。そのため、作業は体への負担が軽くかなり楽ですね。ただ、ラインの管理や調整を間違えた場合には、そこから産み出される製品のすべてに影響が出ますのでとても気を遣いますし、その意味で精神的に大変な仕事かもしれません。

◆プレッシャーはありませんか

 あります。それに、私自身はプレッシャーに強い性格ではありませんので(笑)、あまり自分一人で抱え込まないように、同じ班のメンバーと常に状況を共有しています。みんなで確認し合うことで気持ちも楽になりますよね。作業班には私と違う年代の先輩や若い世代の人もいるのですが、うまくコミュニケーションができていると思っています。

◆コミュニケーションのコツは

 普段からよく話すことはもちろんですが、時には自分からわざと馬鹿馬鹿しいことをやってみたり(笑)、そんな人間臭いところも見せあうことが大事かと思います。心に浮かんだ思いつきやアイデアも言いやすいですし、こんな馬鹿な思いつきを話しても大丈夫かなという心配もなく、口に出しやすいですよね。そういう構えずに話せるような関係性を作っておく事が、チーム全体の発想力を高めるように思います。

◆そのコツはどのようにして身につけたのですか

 私の場合は、この会社に入った当時、とても気さくに話しかけてくれる先輩がいました。話の内容も、必ずしも仕事や作業についてではなく本当に何気ない話題で常に話しかけてくれましたし、こちらからも話しかけやすい雰囲気を作ってくれていました。何気なしに言葉を交わすうちに、いつのまにかキャッチボールになっているような、会話の膨らませ方でした。私はその先輩の話し方を真似て今のようになったんです。

◆これからの目標は

 以前、私たちの班で当社の加工機械を使って、全く新しいモノが何か出来ないかを話し合ったことがあります。これは業務とは関係のない雑談から始まったことでしたが、日頃の身近な道具のグレードアップや、全く新しい製品など、みんなで思いつく限り発案しました。これを上司に見せたところ、ほとんど却下と保留でした(笑)。でも、こういったことにこれからもっと挑戦していこうと思っています。この会社は私たちのような若い世代からのアイデアや発想を真剣に受け止めてくれると感謝しています。

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各製造ラインの生産管理

17e.jpg班のミーティング