A・しばらく家で様子を見てみましょう。
ただし、症状が悪化した場合や変わらず続く場合には、医療機関を受診しましょう。
◯過ごしやすい環境を整える
熱の出始めは顔色が悪く、手足が冷たくなり、寒気がします。
寒気がある時は、服や掛け物を一枚増やしたりして、暖かくしてあげてください。
熱が上がりきると、顔色が赤く、手足が温かくなります。
暑さを感じるようになったら、涼しくしてあげてください。
服を着せすぎると、熱がこもって下がりにくくなります。
◯熱を下げる工夫を
体を冷やすことでは、発熱の原因を取り除くことはできませんが、本人が気持ち良いだけでなく、熱を下げる効果があります。
冷たい水を入れたビニール袋などで首の両脇やわきの下、太ももの付け根を冷やすと効果的です。
熱さまし用の冷却シートは冷やす面積が小さく、熱を下げる効果は少ないですが、子どもが気持ちよく過ごすためのものです。
注意!
早く熱を下げようと、ビニール袋に氷を入れる場合、小さな氷塊5つ程度に止めてください。
氷を多く入れてしまうと、冷たすぎて子どもが嫌がったり、触れている部分が凍傷になったり、熱が下がりすぎて顔が青くなってしまうことがあります。
◯水分補給をしっかりと
熱が高いと、体の水分が失われます。
脱水症状にならないためにも、湯冷まし、麦茶、経口補水液などで水分補給をしっかり行いましょう。
◯解熱剤を使う
本人に処方された解熱剤(熱を下げる薬)があるなら、使ってみてもよいでしょう。
解熱剤には、内服するものと、肛門から入れる坐剤があります。
解熱剤で熱が下がり始めるには、約30分程度かかります。
解熱剤で熱が下がっても、下がっている時間は約4〜5時間で、時間が過ぎればまた熱が上がってきます。
注意!
解熱剤の中には、「水ぼうそう(水痘)」や「インフルエンザ」に使ってはいけないものがあります。
処方された解熱剤が水ぼうそうやインフルエンザにかかった時に使ってもよいものか、必ずかかりつけ医に確認しておきましょう。
発熱(38度以上)
吐く(嘔吐)
嘔吐(おうと)は、小児期によくみられる症状のひとつで、ほとんどの場合は慌てる必要はありません。
嘔吐の他に発熱や下痢などの症状がないか、どんな時に吐いたか、吐く回数、吐いたものがどのようなものかなどを観察しましょう。
Q・下記の症状にあてはまるものはありますか?
□ 続けて何度も繰返し吐く
□ 吐いたものに血液や胆汁(緑がかった液体)が混じる
□ 発熱(38度以上)がある
□ けいれんを起こすか、意識がぼんやりしている
□ 頭を激しく痛がる、吐く前に強く頭をうった
□ おしっこが半日以上出ていない
□ 大便に血液が混じっている
□ お腹がパンパンに張っている
おなかをくだす(下痢)
下痢(げり)は、いろいろな原因で腸の動きが活発になるとともに、腸の水分吸収が悪くなったり、腸液の分泌が増えることにより、水分の多い便が頻繁に排泄されることです。
下痢の時には、便の色やにおい、便に血液や粘液が混じっていないか、いつから始まり、何回くらい便が出たのか、発熱や嘔吐などの症状がないかなどを観察しましょう。
また、おむつをしている乳幼児はおむつかぶれに注意しましょう。
Q・下記の症状にあてはまるものはありますか?
□ 元気がなく、ぐったりしている
□ おしっこが半日以上出ていない(尿の色が濃い)
□ 嘔吐、発熱(38度以上)強い腹痛がある
□ 水分を受け付けず、唇や口の中が乾燥している
□ 大便に血液が混じっている
□ 定期的に激しく泣く
おなかが痛い(腹痛)
おなかが痛いというときは以下の点に注意してください
◯発熱していないか
◯吐き気がないか
◯下痢をしていないか
◯おなかを抱え込むように痛がっていないか
◯激しい泣き方をしていないか
◯お腹が張っていないか
指を立てぎみにしておなかまわりを柔らかく押しながら移動させ、一定の場所に痛みを訴えるかどうかを見てください。
Q・下記の症状にあてはまるものはありますか?
□ 強いおなかの痛みが急にきた、またはずっと続いている
□ がまんできない痛みがある
□ おなかをさわると痛がる
□ おなかが硬く張っている
□ 吐いたものに血やコーヒーかすのようなものが混じっている
□ 大便に血液が混じっている
□ おまた(脚の付け根、陰のう)が膨らみ、痛がる
□ 発熱(38度以上)がある
□ 痛みがだんだんひどくなってきている
せき、あえぐような呼吸(咳・喘鳴)
10分に1回くらいのゴホッという咳は、様子をみていていいでしょう。
発熱しているときや何度も咳き込んで吐くときは、下記の項目に当てはまるか確認して診察を受けましょう。
呼吸にともなって、ゼーゼー、ヒューヒューという音が聞こえるのを喘鳴(ぜんめい)といいます。
首の付け根が、息をするたびにへこむかどうか見てください。
熱があるか、咳が強いか、息づかいや発汗の様子も見てください。
また、いつもはいびきをかかないのにいびきをかくかも観察しましょう。
※喘息でも、ヒューヒューという音が聞こえるときは、分泌物の水分が少なくなっています。
Q・下記の症状にあてはまるものはありますか?
□ 唇や口の周りの色が紫色になる
□ 息苦しそうで、呼吸がはやい
□ 痰(たん)が切れずに咳き込むことを繰返す
□ 声がかすれ、犬の遠吠えのような咳をする
□ 呼吸にあわせ、ゼーゼー、ヒューヒューという音がする
□ 突然むせて、激しい咳き込みが続く
□ 発疹があり、かゆがっている
ほっしん(発疹・湿疹)
発疹(ほっしん)・湿疹(しっしん)とは、何らかの原因でじんましんのように急に出た皮膚の変化を発疹といい、アトピー性皮膚炎など赤ちゃんの顔に持続的に出ている皮膚の変化を湿疹といいます。
〇どんな発疹か観察を
・どのような発疹ですか?
・かゆがりますか?
・発疹が広がりますか?
・発疹の場所を痛がりますか?
発疹の形は小さな赤みなのか、いろんな形をした大きなものか、少し盛り上がっているか、透き通ったもので押さえて赤みが消えるか、など観察してください。
急に出ることが多いのはじんましんです。
じんましんは、原因不明のこともありますが、多くは何らかの食べ物が原因となり、出る場所によって大きさや形のちがう淡紅色で少し盛り上がった発疹です。
じんましんでも、強いかゆみが無かったり、発疹が数個だけならばその部分を冷やしてみるか、普段使っている虫さされの薬を塗って様子を見てもよいでしょう。
□ 今までひどいアレルギー症状が出たことがある
□ 急に口の中や舌が腫れてきた
□ 呼吸が苦しい、声がかすれる、咳が出る
けいれん(ひきつけ)
けいれん(ひきつけ)とは、急に身体の一部または全身をピクピク・ガクガクさせたり、意識がなくなって眼が固定し手足をグーッと突っ張ったりすることを言います。
〇どんなけいれんか観察を
お子さんのけいれんに気づいたら、あわてて抱き上げたり、ゆすったり、頬を叩いたりしないで、次のことを観察しましょう。
1・呼吸しているか
2・意識があるか
3・始まって(気づいて)から、けいれんが終わるまでの時間
4・けいれんの様子(目、手足、吐き気など)
※舌を噛まないようにと、口の中にものを入れてはいけません。
〇熱性けいれん
6ヶ月から6歳未満の子どもに多く見られるけいれんで、38度以上の発熱に伴って発生します。
発熱後24時間以内に起こりやすく、いわゆる良性の「熱性けいれん」は、何度起こしても、特に後遺症を残す心配はありません。
ただし、長時間続くときには診察を受けましょう。
□ けいれんが止まっても意識が戻らない
□ 唇の色が紫色で顔色が悪い
何かを飲み込んだ(誤飲)
◯誤飲したとき、どうしたらいいの?
子どもが、飲み込むと危険なものを飲み込んだ場合を誤飲といいます。家庭の中であっても、子どもに危険なものはたくさんあります。
タバコ、医薬品、漂白剤、殺虫剤、燃料(灯油など)、ボタン電池などです。
・誤飲したときの対処法
まず落ち着いて、何を飲み込んだか周囲にあるものから推測してください。
灯油など揮発性のある石油製品、漂白剤、強い酸やアルカリの製品などは、吐かせるとかえって危険です。
そのまま診察を受けましょう。
飲み込んだものの残りや吐いたもの、その容器、添付説明書などは、診察を受けるときに必ず持参するようにしましょう。
・少量であれば心配ないものもあります
・吐かせ方、ノドに詰まらせているとき
吐かせるには、指をノドの奥に入れ、舌を押し下げるようにします。
また、ノドに詰まらせているときは、
(1)頭を舌にして背中をたたく
(2)後ろからお子さんのお腹の前で指を組み、お子さんのお腹を上後ろ方向に強く引き上げる
◯タバコの誤飲
・タバコを誤って飲み込んでしまったら
「タバコを食べてしまった」といっても、あまりのニガさのために普通は1cmも食べていませんが、その場に残っているものを確認しましょう。
それから、お子さんが飲み込んでいるかもしれませんので、吐かせてみます。
吐いたものの中に、タバコの葉が1、2枚程度であれば、あわてないで大丈夫ですが、2cm以上食べたようでしたら、できるだけ早く医療機関を受診しましょう。
水は絶対に飲ませないでください。水に溶け出したニコチンは急激な症状を引き起こします。
タバコの灰皿の汁やタバコの吸い殻の入ったジュースの残りを飲んだ場合は、大至急医療機関で診察を受けましょう。
・誤飲の場合の応急処置は
異物を飲んだときの応急処置は、種類によって対応が異なります。
わからない場合は(財)日本中毒情報センターに問い合わせて相談しましょう。
大阪中毒110番 072-727-2499(365日24時間:情報提供無料)
つくば中毒110番 029-852-9999(365日9〜21時間:情報提供無料)
※スマートフォンの場合、上の電話番号をタップすればそのまま電話をかけられます
Q・お子さんの意識はありますか?
豆を飲み込んだ
飲み込んだものが気管や気管支に入ってしまうことを誤嚥(ごえん)と言います。
子どもの誤嚥で最も多いのがピーナツなどの豆類です。これらはその大きさや形から、子どもの気管に入りやすく、誤嚥の原因となります。
◯どんな症状が出るの?
症状は、咳き込んだり、むせたり、ゼーゼーしたり、呼吸が苦しくなります。
ノドに完全に詰まると、窒息死してしまうこともありますので、注意が必要です。
◯治療方法は?
ピーナツなどの豆類は全身麻酔をして気管支鏡(気管・気管支の内視鏡)で取り出す必要があります。
◯豆の誤嚥は予防が最も大事!
誤嚥は予防が最も大切です。3〜4歳までの乳幼児には、日ごろからピーナツなどの豆類をそのままの形では絶対に与えないでください。
手の届くところには置かないよう、日ごろから心がけ、かわいいお子さん、お孫さんを危険から守りましょう。
便の色の異常
先天性胆道閉鎖症は、生まれつき肝臓と腸をつなぐ胆管が詰まっていて、胆汁が腸に流れなくなる病気です。
生後2ヶ月以内に発見して、手術するのがいいと言われています。
◯うんちの色をチェックしよう
先天性胆道閉鎖症は、皮膚や白目が黄色になる「黄疸」が続くかひどくなること、赤ちゃんのうんちが「うすい黄色」「白っぽい色」「クリーム色」「灰白色」になるといった症状がでます。
1ヶ月健診の頃に赤ちゃんのうんちの色をチェックしましょう。
生後1〜2ヶ月でうんちの色が変わることもありますので、2ヶ月くらいは注意が必要です。
心配な場合は、小児科を受診しましょう。