代表取締役 菅 徳嘉さん
最上にさらなる熱を生み出したい
~地域のために生活必需品を供給しライフラインを支える~
●どのような会社でしょうか
雑貨や日用品など生活に関わるものを幅広く取り扱い、販売しています。燃料も取り扱っており、ガソリン、軽油、灯油などの化石燃料の売上が全体の約6割を占めています。その他に、最近では、産直所で野菜類も販売するようになりました。
丸徳ふるせという屋号は、106年前から続いています。もともと最上町は「小国駒」と呼ばれた軍馬の名産地で、当社は、農耕具を含めた馬具を扱う商売から創業したと聞いております。創業当初から小売業であることは一貫しておりますが、扱う商品は、お客様のニーズに応えるために、時代毎に変化させてきました。
●最上地域で仕事をしてご感想は
当社のある最上町では、人口減少が急激に進んでいると感じています。ただし、世帯数はさほど減っていないんですね。つまり、一人暮らしや跡取りの若い世代がいない高齢者夫婦の世帯が増えてきています。
当社に求められる役割は、お客様の生活の中に入り込む、きめ細かなサービスだと思っています。言うなれば「現代の御用聞き」で、それを現在構築しているところです。また、最上地域はクルマ社会ですし、冬期の暖房でも多くのエネルギーを必要としますから、燃料の供給は重要なライフラインです。
当社は、従来の化石燃料の供給を続けるとともに、次世代の地域循環、再生可能エネルギーとして、木質燃料の供給にも着手しています。
これからの地域社会は、いかにして持続可能な形で、モノ、エネルギー、お金を循環させていくかが問われる時代になってきます。また、これからは燃料などのエネルギー源だけではなく、熱そのものを販売していく必要があるでしょう。最上町の政策はそういった方向で進んでいますので、当社としては行政との連携もとりながら、更にチャレンジしていくつもりです。
●事業に挑む環境は、昔と今で異なると感じますか
ここ数年、最上地域の産業や、これから産業になり得るものを見ていますと、若い人が起業できるチャンスは増えたように感じます。また、そのために学ぶ環境やアドバイスを得る機会も豊富にあると思いますね。
例えば、地域おこし協力隊という3年間地域で起業する準備を整えながらトレーニングできる制度もあります。こういう仕組みを活用しながら最上ならではの特産物とうまく組み合わせれば、事業化のチャンスは十分にあると思います。事業開始当初の、まだ関係者やリスクが少ない時期であれば、その分思い切った内容の事業にもトライしていけます。
よく、最上地域には若い人の働く場がなく、それを求めて出て行ってしまうことで人口流出が進むと言われますそれならば、この地で起業してみても良いのではないかと思うのです。例えば、大きな企業の下請け工場をひとつ誘致するよりも、年商3千万円ぐらいの事業を起こす若者が10人ほど出た方が、この地域の中に、煮えたぎるような熱が生み出されると思うんです。
もちろん、企業誘致は重要なことではあります。しかし、中央の下請けや都市部にあるものを持ってくるというスタイルから、この地域にあるものを中央に持って行き商売をするという形が、今後はより重要になってくると思っています。
●例えばどのようなものでしょうか
林業は、近年のヨーロッパでは花形ですが、日本では林業のイメージはまだ低い状況です。伐採の時期を過ぎた里山も問題となっています。これからは、こういった地域課題の解決を仕事とすることが多くなってきます。目先の利益だけでなく、社会の長期的なビジョンを俯瞰(ふかん)するところに大きな商機が見えてくるのではないでしょうか。
2008年度入社 井上いくみさん
●この会社に入ったきっかけは
高校を卒業した後、他県で就職しました。でも、前職は時間が不規則で大変だったということもあり、地元の最上町で実家から通える企業に就職したいという気持ちが強くなりました。当社の求人を見つけたことをきっかけにUターンして入社しました。
今は勤務時間がしっかりと決まっていますので安心して働けますし、自分の時間を持てるのが嬉しいですね。
●どんな仕事を担当していますか
当社の一部門であるガソリンスタンドで働いています。担当しているのは給油作業が主で、その他に洗車や電話応対も行います。
お客様は近所の方が多く、中でも何度も来て下さるお客様とは顔見知りになりますので親しみがわいて、地元で仕事をしている良さを実感できます。灯油の配達依頼は電話で受け付けることが多く、時には最上町の方言が強い高齢のお客様との電話では、言葉の内容が聞き取れないこともあります。私も最上町出身なんですけどね(笑)。聞き間違いがないように、丁寧に聞き返すように心掛けています。
●社会人になる時に必要な心構えは
学生から社会人になると、自分で考えることが多くなります。わからない時には、上司や先輩に聞くことが大事ですが、何もかも「次に何をしたら良いですか」と問いかけるのではなく、状況に応じて必要なことを判断し、自分から行動することが求められてくると思います。
私も社会人一年生の頃は、何でも先輩に聞いていましたが、これではいけないと思い、周りの様子をよく観察して真似たり、メモを取ったりするなどの努力をしました。
電話の応対も社会に出てから身に付けたスキルの一つです。しっかりと相手の話を聞くことが大事です。特に、配達にあたっては地区名と苗字の他に、お名前をきちんと聞くことも必要ですね。地区によっては同じ苗字が多いこともあります。
●就職前からできたのですか
私はもともと人見知りで、初対面の人とコミュニケーションをとることは難しかったのですが、「仕事」と切り替えることで出来るようになりました。仕事に責任を感じるようになったのかもしれません。
若い人には、苦手だとか無理だとか自分で決めずに、とにかく何でもチャレンジしてみることをお勧めしたいです。
【先輩からひと言】
ガソリン・灯油など暮らしに欠かせないエネルギーや様々な生活必需品を供給する地元の販売店は、ニーズに合わせた商品を提供し続けることで、地域の暮らしを支えています。
【おしごとPoint!】
生活に不可欠な灯油の配達は、特に高齢のお客様には感謝されることが多く、地域の支えになっていると実感できます。