代表取締役 高橋 智之さん
事業の革新を続けて地域を守りたい
~先端的な微細加工製造とともに高付加価値な晨業に挑戦~
●どのような会社でしょうか
主に腕時計の組み立てや、製造業で組み立てをするために使う治工具(じこうぐ)の製造を行っています。
また、近年は製造ラインの自動化装置も手掛けるようになりました。リニアモーションガイドと呼ばれる加工機械で動く部分のレールの組み立てや、産業用ロボットを使うための製造ラインの組み立てを、グループ会社とともに行っています。 「モノ作りでお客様に貢献しながら、地域に働く場所を確保し続ける」を企業理念として掲げています。
●地元に雇用機会を確保することを事業の目的としておられるのですね
はい。それも大切な目的のひとつと考えています。当社がある真室川町は、かつては農業と林業が主産業だった地域です。ここでは働き盛りの年頃になると、仕事がなくなる冬の間は出稼ぎに行くしかありませんでした。
この会社は、私の父である先代の社長が起こしました。雨に濡れずに通年働ける場所を地元に確保しなければいけないと考えたことが創業の動機なのです。その志を現在も引き継いで、地元に雇用の場所を確保するために事業の継続と拡大を目指すことを、現在も企業理念としています。
●事業内容に工業を選ばれたのは
当社が創業した時代、世の中はオーディオブームでした。そこでスピーカーの組み立てを業務として会社を起こしたのが始まりです。|徐々に規模が拡大していくなか、やがてブームが去り、自社の経営の安定化を図る必要がでてきました。スピーカーで得た経験や技術を基にして、腕時計組み立ての仕事を受けるようになりました。
そういった経緯で当社は工業分野の仕事を行うようになったのですが、創業の精神を考えれば、地元でも仕事ができれば業種は何でも良かったのです。
最近では、製造や設計が難しくなった高齢の従業員が、退職した後に行える仕事を確保したいと考え、農業分野にも挑戦しています。従来の作物よりも付加価値が高い生薬向けの作物を栽培する仕事も行っています。
高齢でも活き活きと働ける地域を目指しています。
●最上地域で仕事をしてご感想は
「自分は二番目でいい」と考えているような感じを受けます。心のどこかで「所詮、新庄最上はこの程度だろう」と自分自身で決めつけているのではないでしょうか。自分を抑制していると、それ以上の発展は望めません。会社を起こして事業を行う以上、自らを縛らずに出る時は思い切って出るという覚悟が大事だと思います。地域も同じことです。少子高齢化が進み地域に元気がないとよく聞きますが、少子高齢化は東京などの都市部でも同じく進んでいます。違うのは、暮らしやすい環境であるかどうかという点です。ここが人口が増加か、減少かの違いではないかと考えています。
最上地域の人口を増やすため、特に若者に定着してもらうためには、この地域がどうすれば暮らしやすくなるのか、あらゆる分野について考え、対策を即時実行していくべきだと思っています。
●若者に求めることは何でしょう
私が若い頃とは価値観が異なるように思います。夢見がちな部分がなく、欲しいものは現実の範囲から選択するという堅実さを感じますね。昔なら夢として見ていたモノが、現代はテクノロジーの進歩ですぐ現実になる。それは良いことですが、その分、今の若者は、「夢」を描きにくくなっているのかもしれません。
ですが、発展や向上の原動力として夢を描くことは大切です。若い人には、企業を自己実現の場として、会社が求めることと同時に自分がやりたいことを実現するために、ぜひ飛び込んできて欲しいと思います。
2004年度入社 佐藤 渉さん
●この会社に入った経緯は
私は、学生の頃から、モノづくりの会社で製造をしてみたいと考えていました。出身は真室川町で、地元にモノづくりを行っているこの会社があることを知り、高校を卒業した後に就職しました。
●どんな仕事を担当していますか
入社した当初から、3次元CADを使った設計を担当しています。設計するのは、主に金型ですが、最近ではモノを生産する時に受け台として使う治工具などの設計も行います。
●やりがいを感じる時は
設計の業務は、3次元CADで出来上がった設計データを納品することが多いのですが、当社では治工具等は自社で加工・組み立ても行っています。このような仕事の場合には、データの納品と違って、自分が設計したものが現物として目の前に現われますので、その分面白いですね。特に、自分が設計した意図の通りに動いた時などやりがいを感じます。時には自分の思い通りに動かないこともあるのですが、その時には先輩や同僚に相談して、チームで対処することもあります。
●後輩へのアドバイスを
若い時には、自分が何をやりたいかや何ができるのかとか、いろいろと悩むことも多いと思います。
あまり難しく考えすぎないで、その時の希望や人との縁をきっかけに、まずは社会に飛び込んでみても良いのではないでしょうか。まず飛び込んでみて、その後に上司や先輩に教えていただきながら、少しずつ学んでいけば良いと思います。
●最上地域に望むことは
少しずつ人が減ってきているような寂しさを感じる時があります。これから、もっと最上に住む人が増えて活気づいて欲しいですね。そのためには、町なかにもっと憩いの場があったり、人を呼ぶイベントをもっと開催したりできたら良いではないかと思います。「ホワイトアスロン」というイベントに今回も参加しました。
この会社は、地域のイベントに積極的に参加することを勧めてくれますので、これからもどんどん参加してへ地域を盛り上げていきたいです。
●これからしたいことは
今後もこの会社でしっかりと業務を担当していきたいです。あとは、結婚して親を安心させたいですね。
【先輩からひと言】
「あまり難しく考えるよりも、自分の素直な気持ちで、その時にやりたいことを見つけて、社会に飛びこんでみよう。」
【おしごとPoint!】
製造業には、研究、設計、製造ラインの設定、製造組み立て、検査、出荷など、様々な多くの部門があります。製造業を希望する人は、どの部門の仕事に就きたいかよく調べておこう。