39b.jpg代表取締役社長 海藤 剛さん

小それぞれが持つ文化に沿った発展を
~地域のインフラを計画と設計で支える~

◆どのような会社でしょうか

 当社は、道路や河川を中心とした土木工事に関する測量や設計、用地に関するサービスを提供しています。
用地とは公共工事で必要な土地を補償する際にかかる費用を算出するという業務です。
 また、災害時にはすぐに対応して現場で状況を調査し、復旧作業にかかるための基礎的データを提供します。東日本大震災の時にも、発災から3、4日後には現地に入り、測量を行いました。そのような緊急性の高い仕事も行いますので、そういった面でも社会的役割の一端を担っている企業だと思います。
 当社の開業は昭和42年で、私の父親が創業者です。私は、大学院で土木について学んだ後、東京の大手建設コンサルタント会社に就職しました。そこに10年ほど勤めた中で1年間スリランカに行っていました。それはJICAの仕事として、当地の国際空港や上下水道、ゴミ処理施設などの建築プロジェクトに設計業務で従事しました。

◆スリランカはいかがでしたか

 到着した時には、どこか懐かしいような雰囲気がありましたね。現地の方は欧米のような物質的豊かさに憧れを抱いていましたが、私はそうではなく、スリランカ独自の発展の方向があると感じましたし、今まで培った文化を大切にすることがその方向だという気持ちがありました。
 例えばゴミ処理施設については、スリランカはまだ物品が不足している国で、ゴミ捨て場にはそれを再利用しようと人が頻繁にやって来て使えるモノを持っていきます。日本は、お金をかけてリサイクルしているのに、スリランカでは自然発生的にそういった仕組みができていたのです。これを保った方がお金もかからず、現地の方の生活の助けにもなりゴミの量も減らせて良いわけです。このように、お国柄や土地柄なりの発展の仕方というのはそれぞれにあると思っています。
 最上には最上の文化があり、最上の発展の方向もあると思うんです。森林バイオマスを使ったエネルギーの自立地域になれるかもしれませんし、歴史や文化を核にした求心力もあるのかもしれません。この土地で生活し事業を行っている地元のコンサルタントだからこそその機微が分かるという特質を今後も生かしながら、地域のために仕事をしていきたいと思っています。

◆若者にどんな資質を求めますか

 便利な暮らしができるということは、誰かがその仕組みを作り、支えているという事です。私たちは、その仕組みを計画するという、さらに下支えの仕事なんですね。そのような地味さはありますが、最近は技術革新が及び、例えばドローンで空中から直接土地測量行うなど、昔の3Kではなく実態は情報処理に近い知的な仕事です。昔なら人手をかけて複雑に行っていたことを、最近は情報処理ツールを使って遥かに効率的に行いますし、それをさらに手際よく簡単に行えるように工夫できる若い方が増えたように思います。
 同じ目的の仕事をするにしてもその方法が変わるパラダイムシフトが起きていますので、この時代に適応し、効率化を考える能力のある方が一番望ましいですね。

◆今後の最上地域に望むことは

 最上には知的産業がまだまだ不足しているような印象があります。企業誘致するにもそういった分野が望ましいのではないでしょうか。知的産業は人材そのものが生産基盤ですので、企業としては待遇を良くし定着していただかないことには人材が流出しますし、それは生産基盤そのものを失うことです。これは我々のような業界だけに言えることではなく、全産業についても言えると思うのですが、待遇を高めたり、多様な働き方を導入したり、または高齢者や女性などこれまで埋もれていた人材の再活用を図るなどの方策が急務だと考えています。
 最上にいる人間を単に雇用するという視点ではなく、財産と考えてそこに投資するという考え方を持たないことには、特に若い方の人材流出は止められないと思っています。


39c.jpg平成26年度入社 櫻井悠貴さん

◆どんな仕事を担当していますか

 私は設計業務を担当しています。入社して2年目なのですが、大雨により被害を受けた河川護岸の、復旧設計業務に携わらさせてもらいました。ただ本格的に図面を1人で書くのはこれからになると思います。
 今は設計図はすべてCADで作りますので、手で書くということは全くと言っていいほどありません。

◆どのような経緯で入社しましたか

 私は山形大学の理学部で地質を研究しておりました。研究は、今の仕事とは関係のない内容でしたが、就職説明会の時に当社の社長が来てくださり、説明と入社のお誘いを受けたことがきっかけとなり、こちらの会社に就職しました。私自身は、土木関係の仕事に就くとは思っていなかったので、学んだ知識は役立ちませんが(笑)、自分がこの会社で貢献できることは何かを考えた時には、まずは課題を発見し対処するというプロセスや物事の考え方だろうと思っています。

◆社会人になった時苦労したことは

 学校と違って実社会で仕事をする場合、自分がやったことについては当然責任がありますので、仕事の内容が合っているのか、正しいのかを逐一先輩に伺いながら常に自分の仕事の内容を確かめていました。ただいつまでも聞いてばかりというわけにはいきませんから、少しずつ先輩に聞く頻度を減らしながら、同時に自分でも勉強して、自分自身の仕事にしていきました。
 また、私は学生の頃に、公害問題研究会というサークルに所属していたのですが、ここで色々な社会問題を考える活動をしまして、それを通して様々な団体の方と話しましたし、他の大学の同年代との討論もあり、話す機会が多かったと思います。こういった活動を通して人とのコミュニケーションに慣れたり、円滑に話を進めていく方法や共通の論点を外さない話し合いの仕方など、多くを学んだという気がします。

◆入社してから感じたことは

 この会社に限ってなのかもしれませんが、とてもアットホームな雰囲気で、社長や先輩方もすごく人間味のある付き合いをしてくれます。私が学生の頃に考えていた会社勤めというのは、もっとよそよそしくビジネスライクな人間関係と想像していたのですが、仕事を始めてみるとそんなことは無く、とても温かくて仕事がしやすいですね。

◆後輩へアドバイスをお願いします

 私は宮城県の出身ですが、大学が山形だった関係で将来は山形県内で就職したいと思っていました。
縁あって新庄の会社に就職し、今は新庄で暮らしているのですが、ここに来て一番印象深かったのは新庄まつりです。以前に上司に誘われて参加させていただいたのですが、それはとても楽しい経験で、住民自身が山車を作り、お囃子を奏でることや、神事である大名行列もきちんと保存しているなど、様々な面で驚きましたし、私にとってインパクトが大きかったです。
 こういった郷土の文化は、ぜひ将来にわたって保ってほしいと思いますし、そのために、地元民だからこそできることは何かを、私自身も考えていきたいと思っています。

39d.jpg
CADでの設計業務

39e.jpg必要な設計資料の参照