34b.jpg代表取締役社長 横田健二さん

全体を考える広い視野を持つこと
~食品容器事業を核に環境や福祉の視点も~

◆どのような会社でしょうか

 当社は包装容器パックやリサイクルトレーを製造している会社です。
 阪神淡路大震災の時ですが、水道が長期間止まり、被災された方は大変な思いをしました。避難所で温かいものを食べようとした時には使った食器を洗うことができないため、窮余の策として容器にラップを敷いて間に合わせていたんです。これを目にしたことが、発泡トレーにフィルムを密着させるというリサイクルトレーの発想に繋がりました。
 これは、非常時はもちろん、普段であっても汚れた表面フィルムを剥がすだけできれいにリサイクルに回せますから、手間もかからず資源の節約にもなります。このアイデアを製品化したことで後の中越地震や東日本大震災の時にも被災された方々に容器を提供し、大変に喜ばれました。
 災害の経験を生かし、世の中のために当社なりの貢献ができたことのひとつと大変に喜んでおります。

◆最上地域への印象は

 奥ゆかしさがあると思います。でも新しい事業については反応がとても少ないですね。それは、最上地域には大学が無いといった教育面の事情から、新しいことの情報がなかなか入ってこないという事も一つの原因ではないかと思っています。
 また、農家が主体の土地柄は一つのことに粘り強く取り組む性質が強いためか、行政との連携でも一方的に受け身になりがちといった傾向もあるのではないかと思います。

◆そういった土地柄で新しいことに取り組まれています

 それは、この地域に都会から夢を運び込みたいという考えからです。新幹線が新庄まで延伸した当時から思っているのですが、実際は若者が出て行くだけなのが残念ですね。

◆地域が魅力を保つにはどうすれば

 私が観光地へ旅行した時には、必ず土産物屋を注意して見ます。土産物屋が元気なのは、その観光地がうまくいっている証拠ですから。
 賑わっている温泉地は、旅館の中の土産売り場が最小限で、むしろ土産店をお薦めしているんですね。宿泊客は、宿から出て下駄を鳴らしながら方々を見て歩くのが湯治の愉しみですから、必ずしも旅館の中だけで済ましたくはないのです。つまり、旅館だけが利益を独占せず土産店を紹介するという工夫が、温泉地自体の魅力を保ち、永続できるわけです。それは地域の人たちや企業同士が互いに認め合い、褒め合うことです。そうやって地域に魅力が増せば、必ず人は訪れますから。

◆最上地域の魅力は何でしょうか

 長い歴史の中で大自然に抱かれて生きているということですね。人間は自然の中でしか生きることはできないし、癒されもしないのです。新庄最上を訪れる方々に、いかにして、この自然に抱かれているという感覚を体験し味わっていただくか、それをどのようにして都会に伝えるかに心を砕くべきです。

◆ご当地キャラが流行っています

 キャラクターもいいと思いますが、あくまで新庄市の観光の一つの材料として考えるべきで、町おこしの中心に据えてはいけません。町おこしは、面白おかしくダジャレにして実現できるものではないですよ。

◆福祉への関心も持たれていますね

 世の中は全てどこかでつながっていて、自分の事業だけの近視眼的視野では決してうまくはいきません。
様々な縁があって初めて仕事もうまくいき、その仕事を通して世の中が良くなっていくのだと思います。
 色々な境遇の方や障がいを持ったお子さんもいる中で、彼らに社会の一員としてどう輝いてもらうのか、当社なりにその手助けを考えた時、福祉の視点に関心を持ちました。

◆今後の方向性をお教えください

 当社は、食品容器に環境保護の付加価値をつけ、またそのリサイクルの輪に福祉の視点も見出しました。さらに、この先駆的な取り組みを全国から見に来て下さる方々に最上を紹介する絶好の機会と考え、ぜひ地域を周遊していただきたい。その意味で、今後はリサイクルの輪に、観光の観点も付け加えることができないかと構想しています。


34c.jpg平成15年度入社 阿部祐見さん

◆この会社を知ったきっかけは

 大学で福島にいたのですが、その頃から、いずれは地元に戻りたいという希望でした。卒業し、就職活動で地元の企業を調べていた時に、こちらの会社を知りまして、入社いたしました。

◆どんな仕事を担当していますか

 私は総務として主に製品の出荷管理や受発注管理を担当しています。また、去年から案内係も兼任しておりまして、当社に見学に来ていただいたお客様のご案内もしています。見学に来てくださるのは、小学校や地域の区長会、町内会の方々と様々で、全国からいらっしゃいます。
 見学時に質問される事項も多岐に渡りますが、会社の取り組みや社長の思いを短時間でいがに伝えていくかを考え、日々努力しています。たくさんのお客様から逆に学ばせていただけることが多いこの業務は、とても貴重でやりがいのある仕事だと思います。

◆案内業務は、コミュニケーションスキルが問われますね

 はい。私はもともと人と話すことが好きという性格でした。また、学生の頃には福島の競馬場で新聞販売のアルバイトをしたことがありますが、そこには本当に色々な方がいらっしゃいました。その仕事を通して、お客さんと挨拶を交わしたり会話したりと、新聞をお金と引き換えるだけではない人間同士の触れあいのようなものがあり、とても楽しかった思い出です。こういった経験も、人と気軽にコミュニケーションができることに役立ったのかもしれませんね。

◆良いコミュニケーションとはどのようにすればできますか

 私にとって、アルバイトが単なる新聞の売り買いだけでなかったように、コミュニケーションというのは単なる言葉の伝達ではないと思います。それは言葉の背後にある考えや思いを伝えることが本当の目的で、言葉は器に過ぎないと思うんです。考えや思いを伝えるにはまず自分の心を開かなくてはいけませんし、同様に相手にも心を開いてもらうには、言葉を投げつけるのではなく、何気ない会話から始まる気軽さや、相手へのいたわりの言葉から始まるプロセスが大切だと思います。

◆将来どんな最上であってほしいですか

 私には小さな子どもがおりますので、より子育てのしやすい地域であれば嬉しいですし、若い人にとっても、結婚や出産に対する後押しになると思います。
 当社は女性社員も多く、例えば子どもが急病になった時など突発的なスケジュールの変更にも柔軟に対応していただけますので、本当に助かります。こういった子育て中の女性に特有の事情に配慮していただける企業が、最上地域にもっと増えたら良いなと思います。

◆後輩へアドバイスをお願いします

 まずは健康でなければ何事もできません。働き始めて体調を崩したりしないように、日頃から生活習慣や健康に気を配ることが大事です。また、自分の中に閉じこもらずに仲間や同僚と話す、上司に相談するということも大切ですね。社会人として頑張りましょう!

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カウンターで見学者へ説明

34e.jpg展示品の整理