33b.jpg代表取締役 早坂昭広さん

異分野に飛び込む情熱を
~従来事業を各に自社ブランドを展開~

◆どのような事業でしょうか

 切削工具にエンドミルと呼ばれるものがありますが、これらはフライス盤やマシニングセンターなどで使われる、金属を削るための刃物の一種で、削る材料や加工方法、加工条件によって実に様々な種類の工具が使用されます。工具の材質は、ダイヤモンドや超硬合金、ハイス鋼、サーメットといったものがあります。
 お客様の使用済みのエンドミルをお預かりし、新品同様に再研磨して、切れ味を取り戻し、お返しするという事業が、現在の当社の主力になっています。その他にも自社製品も生産しています。

◆企業の経緯を教えてください

 私は戸沢村の出身で、もともとは英語教師になるつもりで、英文科の大学で英文学を専攻し、教員免許を取得しました。たまたま同時期に、この仕事を手がけていた叔父が体調を崩し、事業をたたもうとしていたんです。叔父はじめ親戚中から、せっかく立ち上げた事業をたたむのはもったいないから、機械全部あげるから、仕事を継いでくれないかと打診されたんです。長い間悩みましたが、教師を目指すことをやめて最上に戻り、この仕事に就いたというのが経緯になります。その後、所在を移転し社名も変えましたので、継承したのは再研磨という事業だけで私が起業したかたちになります。起業してからかれこれ13年になります。

◆違う分野に進んだことに抵抗感はありませんでしたか

 当然ありましたよ。僕は工業には全く興味はありませんでしたし、大学で学んだことは現在の仕事と全く違いましたから。始めた当時は本当に全くの素人でエンドミルのエの字もわからないような状況でしたから(笑)。

◆企業理念を教えてください

 「一切の妥協を許さず、日々努力研鑽し、顧客満足度の向上を目指す」お客様に満足していただくために仕事するんです。
 この分野は、仕事の結果にノウハウの影響するところが大きいんです。そのノウハウを蓄積し磨いていくためには、お客様の声を直に生かすことがとても大事です。そのために私自身がお客様を訪問して製品をお預かりしてくるというスタイルを取っています。そうすれば、経営者である私自身が、お褒めの言葉であれ苦情であれ、お客様の反応を直に受け取ることができますので。

◆やりがいは何でしょう

 一生懸命やればやるほど、その分間違いなく返ってくるという手ごたえじゃないでしょうか。手を抜けば、その分はね返って来ますし、頑張ればその分以上にプラスになって返ってくる、仕事というのはそういうところが面白いんですね。

◆今後の目標は

 エンドミルを生産するメーカーとして、自社ブランドを一昨年から手掛けておりまして、今はその拡充を目指しているところです。再研磨事業を継続しながら、エンドミルメーカーとしてもこれから積極的に売っていく方向で、さらに成長していきたいと考えています。

◆就職を目指す方に何を求めますか

 いつも笑っているような、明るく笑顔でいる人です。何を勉強して来たとか資格は何を持っているかとかより、人柄が大事だと思っています。
 そして、若いうちからより良い人間関係を作るにはどうしたらいいかという部分も勉強していただきたいです。そういったコミュニケーション力こそが、社会に出た時に本当に役に立ちますから。ただ、若い頃しかできないことは思いっきりやった方がいいですよ。そして社会に出てから、そういう情熱を、例えば起業に繋げて欲しい。私も全くの畑違いから、こうやって起業していますし、同じようにこの最上で起業する若者がたくさん出てきてくれたら嬉しいですね。そのために、例えば工業団地内にある空き工場を、自治体が管理して、起業者に安く貸し出し、リスクを軽減してあげるような政策はできないかと提案しているんですよ。


33c.jpg平成26年度入社 平瀬修平さん

◆会社に入ってどれくらいですか

 2年目になります。私は戸沢村の出身で、たまたま社長、工場長と同じ地域に住んでいましたので、消防団などの地域の活動で顔見知りだったんですね。その頃、私は別の製造業の会社に勤めていたんですが、そういったご縁もあり、こちらの会社に移りました。

◆入社されてから大変だったことは

 前の仕事も製造業ではあったんですが20代の終わりという年齢で別の仕事に移るとなると大変さもありました。仕事の具体的な内容はもちろん初めてやることばかりでしたので、新たに覚えることも多く、先輩方にお聞きしながら覚えるまでが大変でしたね。
 私は、高校を卒業してから自衛隊に入隊しまして、4年ほど福島に赴任していたんですね。様々な経験もできて楽しかったんですが、長男ですのでいずれは地元に帰らないといけないという思いがあって、帰ってきました。
 地域外に出て行った若い人が帰りたくないと思う一番の原因は、その土地でできた友達を疎遠になるということが大きいような気がします。僕も自分が地元に帰ってきたときに友達がいないかもしれないという不安が大きかったですね。

◆社会に出る時に大変さは感じましたか

 いいえ。私の場合はすぐに会社員にならずに、自衛隊に入りましたからそのではたくさんの同期との共同生活という形でした。隊では同い年の仲間といつも一緒でしたので、気持ちのどこかで高校生活の延長みたいにも思えたのかもしれませんね。もちろん訓練はかなり辛かったですが、社会への入り口として様々な面で鍛えていただけるので、自衛隊に入るのも良い選択肢だと思います。私も周りに勧めていますよ。

◆現在のお仕事の内容は

 再研磨を担当しています。エンドミルにもいろいろな種類がありますので、それぞれに対応するために、曜日ごとに仕事の種類を変えています。
 月曜と火曜は、太めのものを汎用研磨機という手動操作の機械で作業しますし、他の曜日は細めのエンドミルをNC研磨機を使って作業します。

◆社会人としてアドバイスを

 もちろん仕事にはいろいろな種類がありますが、どんな職業でも最初から完璧にできる人はどこにもいません。それに、仕事は覚えれば覚えるほど楽しくなってくるものです。何もわからない期間が辛く感じることがあっても、我慢して覚えてほしいです。
 同じ仕事をするにしても辛い辛いと思うより、前向きに「もっと覚えてやる。」という姿勢を持っていれば乗り越えられるんだと思いますから、すぐに辞めずに続けてほしいですね。

◆これからの目標を教えてください

 当社が国外に展開して工場を建てる時に、「僕が工場長になります。」と社長や会社内でいつも言っているんです(笑)。
 業界新聞を読んだ時、同業他社が拡大している様子を知ったりするとやっぱり悔しいですね。うちの会社は絶対にもっと伸びていけると確信していますし、その時には自分が大きな力になってやると自分を励ましているんです。

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汎用機を使って再研磨作業

33e.jpg最新鋭機での研磨加工