27b.jpg代表取締役 渡邊 進さん

ハングリー精神で挑んで欲しい
~発想の転換と着眼点で新たな企業価値を~

◆どのような会社でしょうか

 当社は鉄骨パーツの加工製造を専門に行っている会社です。橋梁など土木関係もありますが、今は学校や体育館、倉庫、ショッピングセンターなどの大きな建物に使う部材が多いですね。また最近増えているのが、太陽光発電のパネルを支える架台ですが、これは現在のところ東北でナンバー1の企業になっております。
 原材料を切る程度の加工は、一次加工と呼ばれます。それに対して、当社が手掛ける二次加工というのは穴を開けたりパーツを溶接したり、部材を組んだりするなど、建物に近い具体的な加工を指します。その難しい加工、特に軽量部材に特化しているのが当社の特色になります。
 もともとは私の父が創業した会社で、とても小さなところでした。私が大学を卒業した後勤めた鉄工所を辞めて、改めて父の会社を継ぐときには、このままではいけないという危機感がありました。会社を引き受けた後、平成9年に法人化して、そこから少しずつ業種を変更しながら規模を拡大してきました。代表になってから20年ほどになります。

◆最上での事業はいかがですか

 冬場の積雪などの不利な面は否めませんね。積雪のために製品を屋外に保管できなかったり、県外の現場に納品した時などは「雪は注文した覚えはないよ。」などと嫌味を言われたこともありました。また工場内の暖房コストがかさむなど、冬場の悪条件というのは確かに感じます。
 さらに、最上地域にはこういった業種に関する専門的な教育機関というのがありませんので、採用する社員は素人の段階から自社で教育していく以外にないという、人材の確保や育成の面での苦労もあります。
 今は物流が良くなって、都会の建物でも部材を田舎で作ることは珍しくなくなりました。今後、物流はもっと良くなっていくでしょうから、その分雪国で作っているからという言い訳はできなくなります。ですから、これからはむしろその土地の良いところを見つけ、それを自社の強みにどうやって結びつけていくかの考え方を持つことが、経営手腕になるのかなとも思いますね。

◆最近の若い方のご感想は

 入社してもすぐに辞めてしまう若い方が増えたという印象はあります。物静かで真面目な良いところもあるんですが、なかなか長続きしないですね。なぜもっと自分を出せないのか、若い人材の育成に関して、企業人である我々自身も、もっと勉強していくことが必要です。
 また、教育の分野と企業それぞれの立場が一緒に、これからの人材をどう育てていったらいいのか話し合う場も必要だと思います。教科だけ勉強しても、実際の世の中のこと、例えばお金についてや社会の仕組みといったところを勉強しないまま社会人になっても、やはり馴染めないと思うんですね。そういったことも、教育の場で伝えていくべきだと思います。

◆辞める原因は何でしょうか

 ほとんどが人間関係ですね。若い方が、何かしらの希望やイメージを持って入社していただくのは大変嬉しいんですが、思い描いていたイメージが違うのでしょうか。そういった自分の思いとの違いを、上司や会社のせいにしてしまいがちな人が多いとも思います。
 今、当社にはインドネシアからの実習生が来ていますが、彼らは仕事が辛いとか楽しいなどのこと以前に、とにかく自分の生活を向上させるために仕事を頑張るんだというハングリー精神があって、その点は日本人の若者と全く違いますね。片や日本の若者は、仕事から帰ってきたら、もうご飯が作られていてお風呂も沸いていてという恵まれた環境にありながら、欲しいものもなくやりたいこともない人も多い。
 製品も人物も、日本は優秀というブランド価値は確かに存在していると思います。しかし果たしてこのままで本当にいいのかという危機感を感じることが多いですね。


27c.jpg平成27年度入社 姉﨑 歩さん

◆入社のいきさつを教えてください

 私は生まれも育ちも真室川町で、現在20歳になりますが、もともとデザインに関する仕事に興味があって、建物にも興味がありましたので、建築系の高校を目指してCADを学びました。将来は建築設計を仕事にしたいなと考えていたんですね。でも実を言うと、他の分野の仕事も考えて、専門学校に入り医療事務の勉強もしました(笑)。
 その専門学校で就職活動を行っている時に、私の地元にあるこの会社を知りまして、高校で学んだ技術が生かせるのではと思い入社しました。私は春に入ったばかりなのでまだ先輩方のように早く仕事できませんが、現在も研修を受けながら仕事しています。

◆お仕事の内容は

 設計から上がってきた図面から胴縁(どうぶち)というところを見つけ、加工図面や部品図を作るのが主な仕事です。建物全体の図面から、実際にそれを構成するための一つ一つの部品の図面を起こすという仕事のひとつになりますね。もしも作成した図面にミスがあったりしたら、その部品を現場に持ち込んだ後に寸法が合わず形にならないわけですから、責任もありますし緊張して日々の仕事をしています。

◆自分が作った図面でできた建物をご覧になったことは

 まだありません。でも図面を通して建物の構造を絶えず見ていますし、それにデータを作った後、担当の方からの「加工の部署にデータを流したよ。」という知らせを聞くと、自分の仕事の結果が実際に動き出すんだなと実感できて、とてもやりがいを感じますね。大変ですがとても楽しいです。

◆入社してから大変だったことは

 実際の仕事の流れをつかむまでが大変でした。少しずつ周りの状況がわかるようになってきていますが、まだわからないところも多いですので、そこは先輩方にお聞きします。でも、そのタイミングを掴むのが難しかったりもしますね。伺うのは部材の向きが合っているかどうかとかの具体的な仕事のやり方に関することが多いです。

◆後輩へのアドバイスは

 就職活動で感じたのは、自分って、思ってる以上に自分のことを知らないんだということです。例えば、履歴書に記入する時、自分の趣味ってなんだろうとか、今までどんなことをやってきたんだろうと考え込むこともありました。学生の頃から自分自身についても時々見つめ直して、気づいたときにメモを取るといいと思います。

◆お休みの日はどうしていますか

 最近は買い物に出かけます。三川町に行くことが多いですね。両親ともよくおしゃべりしますが、楽しくがんばっているなと思っていてくれているようです。これから少しずつスポーツや運動もしたいと思っていますし、まとまった休みが取れたら旅行にも行きたいですね。それが今の夢でもあるんです。ヨーロッパやオーストラリアとかの外国旅行がしたいなぁ。

◆今欲しいものはありますか

 カメラですね。星を撮ってみたいんです。だって最上地方って夜空がとても綺麗でしょう(笑)。

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コンピュータを操作しての設計作業