取締役 工場長 阿部信一さん
人間同士の関わりが意欲を育む
~都市部の集合住宅向けに家具を製造~
◆どういうものを作っていますか
家具を製造しております。主にマンションや特別養護施設、病院、学校などの建物に備えつける据付家具が対象です。据付家具は、建物ごとに形状や用途が異なりますので1㎜単位で寸法を取り、図面通りに製造し出荷することが当社の役割になります。そのため、需要を見越してあらかじめ作っておくという既製品ではなく、すべて受注生産になりますね。具体的には、玄関のシューズボックスやクローゼット、脱衣所やトイレなどにある棚であったり、各部屋にある収納などが対象です。
当社の初めは、洗面台などを作っていましたが、現在のようにマンション向けの受注生産の形をとってから15年ほどになります。創業者である私の父は、もともと地元の大手家具メーカーに勤めておりまして、昭和53年に独立する形で当社を設立しました。私は創業者の息子にあたりまして、高校を卒業後、専門学校に進みました。電子関係の会社に3年ほど勤め、その後、現在の工場を受け持つようになりました。
◆最上地域のご感想は
当社の仕事は全てが首都圏の物件を対象にしておりますので、仕事を通して最上地域と関わる機会は無いですね。新庄で仕事をして住んでいながら言うのも変ですが、最上地域の状況はなかなか分からないというのが本音です。ただ、私個人の感想として言えば、少し活気に乏しいような感じを受けています。人間的な面では、最上人は働き者という良い印象がありますし、当社の社員は、地元出身の方たちばかりです。関東などの同業他社の工場を見る機会もあるのですが、当社の従業員は、動きが違って見えるくらいに、みんな真面目によく働いてくれています。作業にしても、お客様への挨拶にしてもキビキビと動いてくれるのは、見ていただければわかると思いますよ。
◆それは新入社員についても言えることでしょうか
残念ながらそこは違いますね。近年は新卒者を採用しても、短期間で辞めてしまう方が多かったものですから、ここ数年は新卒採用を抑えています。
◆その原因は何でしょう
推測するのは難しいですが、若者だけに原因があるのではなく、親御さんの影響というのも無視できないのではないかと思います。私が子どもの頃は、学校に行けば帰ってくるまでの時間は先生にお任せしていたと思います。学校にいる間の出来事は、褒めてもらうにも叱られるにしても、先生を信用して任せていたのが私の世代では普通のことでした。会社も同じで、出勤したら帰るまでは会社に任せて欲しいですね。せっかく入った会社でもすぐに辞めてしまう若者の場合には、その親御さんが学校にも会社にも任せきれない、子離れできていないというケースが多いと考えています。
◆今の若者の印象は
私たち世代は何が欲しいという明確な目的がありました。それが今の若者にはあまり感じられませんね。
◆どうすれば目的意識を持ってもらえるでしょうか
腹を割って話すことからしか始まらないような気がします。例えば、昔は当たり前のように忘新年会や社員旅行など、会社での様々な行事がありました。最近はそういうものが廃れてきて、会社の中の人間関係も淡白になっています。人間関係を敬遠しがちというのは時代の風潮なのかもしれませんが、仕事仲間の人間関係を深める機会として大切な役割があったと思いますし、私は、そういった有機的なつながりを持った仲間でいて欲しいと、現在でも行事を設けています。そういった人間同士の関わりの中から、本当の意欲や目的意識が芽生えてくるのではないでしょうか。表面だけの淡白なつながりなど、つながりとも呼べませんし、心の底から触発されるものなども生みだせはしないと思いますね。
平成19年入社 星川昌儀さん
◆お仕事はどんな内容ですか
現在は、木取りと言いまして、家具を作る材料である原材料から、寸法の材料を切り出す工程を担当しています。まず原材料が運搬されてきまして、そこから大まかに材料を取り出していくのですが、当社の家具製造の工程において最初の部分にあたりますので、この段階でミスをしてしまうとその後の作業すべてができなくなりますから、とても気を遣う仕事ですね。
私がこの会社に就職して10年ほどになりますが、この木取り工程を担当したのは入社してほどなくからです。初めは先輩の下に付いて見習いとして作業工程を学びました。3年ほどしてから任せていただけるようになりまして、それから現在に至っています。
◆会社を知ったきっかけは
私が通っていた高校の担任の先生が工場長と知り合いだったことが縁で、インターンシップの際に紹介して頂きました。1週間ほど仕事を実際にしてみたのですが、その時も楽しかったですね。
私は子どもの頃からプラモデルを作ったりすることが好きでした。今でもこういった業種に勤めているのは自分の手で物を作っていくという事が楽しいからなのかもしれませんね。
◆社会人になる時大変だったことは
学生の時は時間的な余裕がたっぷりありましたが、社会人になってからは余裕は少なくなりましたね。
時間の大切さや有り難みは、社会人になってとても強く感じます。
スケジュールは、原材料が搬入される日にはフォークリフトで下ろし作業がありますので朝の8時には出社します。夕方は5時30分までなのですが、注文が重なって追いつかない時には残業もします。残業は大変ですが、それだけ会社の業績が好調だと思うと嬉しいですよね。
◆仕事は楽しいですか
はい。毎日やりがいを感じます。自分が切り出した材料が一つの製品として仕上がり、納入先に搬送されていく時には、自分の仕事が具体的な形になっている様子を直に見れますから、そんな時には特にやりがいを感じますね。
◆会社に入って良かった点は
私が入社した頃にはとても親しくしていた先輩が先に入社していましたので、とてもいい会社に入ったと思いました。いろいろ話も聞きましたし、一緒に食事に行ったり公私に面倒をみていただきました。社会人になる上で、そういった先輩や同期の人と良い人間関係を持っているかどうかで、その後の仕事のしやすさや意欲に影響を受けると思います。
◆これからの目標は何でしょう
仕事の内容や家具について、まだまだ知らない事もありますので、先輩からもっと伺ったり、自分でもいろいろと挑戦をしながら頑張っていきたいです。一通り自分で納得できるまで経験できるには、最低でもあと6年はかかりそうかなと思っています。その後は、これから入ってくるであろう新しい社員や後輩に覚えたことを伝えてあげられるように、良い先輩や上司という存在になりたいと、それを今の目標にしています。
機械での切り出し工程
部材の積み下ろし