22b.jpg代表取締役 横瀧 勉さん

地域企業のネットワーク化を
~最上人に魅力を感じ新庄を生産基地に~

◆どんなものを作っていますか

 主に、樹脂成形によって事務機器や複写機の部品や自動車部品を製造しています。さらに成形だけではなく、表面に印刷加工を施したり、部品の組み立て加工も行っています。当社は本社が東京にありまして、新庄に工場を設立してから25年になります。

◆設立の経緯を教えてください

 当社は、新庄に工場を設ける前は東京にのみ事業所があったのですが、バブル景気の頃に仕事が急拡大しても、若い方がなかなか集まらなくなりました。またその当時、最上地域から幾人か従業員が勤めてくれていまして、その方たちがとても良く働いてくれていたんですね。そういった背景があり、生産工場を地方に作るのであれば最上地域が良いのではないかと当時の社長が決断したのが、こちらに来た経緯です。
 私はこの会社の創業者の孫にあたりますが、初めは別会社でIT関係の仕事をしておりました。その後、会社を引き継ぐことになってから、すぐに新庄に来ました。

◆最上地域で仕事されてご感想は

 東北の方には、単純作業も黙々とこなすという我慢強い気質がありますし、社員のみんなは明るく仕事に頑張ってくれていますね。もう8年ほど、山形県出身者以外は採用していないですよ。
 ただ、工業団地に対しては少し注文をつけたいことがあります。現在は、どの業種も昔に比べて1ロットごとの注文量が少なくなっていますので、一括して運ぶのが難しい上に、この地は冬は雪に閉ざされますから、輸送の面でかなり不利なんです。そこで、工業団地全体をまとめて同じ目的地に持っていくような「工業団地便」が出来ないかと行政に提案しているんです。
 行政には、企業誘致に頑張っていただくのはとても大事なことですし、これからも続けていって欲しいと思います。しかし、誘致に応じて工場を構えた企業にも配慮していただき、団地の改善案を一緒に考えていける場を作ってもらえたら嬉しいですね。そういったことで、他の工業団地に先駆ける取り組みが産まれたら、最上地域を誇れることにもなるでしょうから、ぜひとも積極的に考えて欲しいと思います。

◆今後の目標は何でしょう

 これから、東京には本社機能だけを残し、徐々に生産を新庄工場に集約しようと考えています。また、工業団地も、他社と協調し多様な注文に応じていける地元のネットワークという形にならないと、これからは厳しいだろうと思っています。まずこの団地内から、さらにはもっと広域にいろいろな業種のメーカーでネットワークを作り、他所で得た仕事を地元で受ける。それを地元で雇用された若い人が作っていく。そのために自治体には人材や経営者同士の交流の機会を企画していただけたら嬉しいですね。

◆現代の若者に感じることは

 地域への帰属意識やアイデンティティーを感じますね。地元の人間だけでうまくやっていこうという意識は、やれるという自信の表れなのかもしれません。こういう気質は、当社の目標である生産基盤をすべて新庄に移す時に、あるいは、企業間のコミュニティを作って、そこで大きな注文を受けていこうという時にも、プラスに働くような気がします。

◆貴社を目指す方に何を求めますか

 特定のスキルや資格を持った方もありがたいのですが、そういった能力の高い方は、時に自分の得意分野に固執してしまいがちです。当社としては、どんな分野の仕事でも、それなりにこなせる多彩さを持った方、マルチプレーヤーの人材が欲しいですね。多分、そういった能力の根源は、自分から挑んでいく主体性だと思いますね。
 私は、次の社長職は社員の中から就いて欲しいと考えていますが、社長というのは、どんな仕事もある程度こなしながらも、ひとつにとらわれない気質でないと、なかなか務りません。私は冗談めかして「社長は、バカじゃ出来ないし、利口でも出来ないよ。」と社員にいつも言っているんです (笑)。 


22c.jpg検査チーム サブリーダー 浅沼俊征さん

◆どんな仕事を担当されていますか

 現在は主に製品の寸法測定や検査を担当しています。その他には、お客様からのクレームにも対応しています。いちばん気を付けているのは輸送時に製品に不具合が生じないようしっかりと梱包する点で、つまり輸送事故を極力減らすという所に特に気を遣いますね。

◆クレーム担当は、かなりのコミュニケーション能力が求められますね

 はい、確かに。 一度でも直に対面した方や、お話をした方であれば、私もコミュニケーションはし易いのですが、ほとんどが初対面で、しかも電話越しでの顔の見えないやりとりですので難しいですね。特に、電話の内容がクレームに関することであれば、正直辛い時もありますが、そこの対応は、まさに会社の姿勢が問われる瞬間です。そこできちんと対応することで、むしろ信頼のおける企業であると認識していただけるチャンスと考えて、お客様の声を真摯に受け止めるように努めています。また、より良い製品や輸送のノウハウに関してのヒントを得られる瞬間でもあるんですね。ですから、対応には誠意を持って臨んでいます。

◆この会社を志したきっかけは

 私は子どもの頃からモノづくりが好きで、よくプラモデルを作っていました。当時は部品が欠けた不良品があったりして、子ども心にプラスチック成形品に関心がありました。
 就職の年齢になってこの会社を知り入社したのですが、そういう子どもの頃の関心がもしかして縁を結び付けたのかもしれませんね(笑)。

◆最上地域に思うことは

 まず、自然が豊かで綺麗ですよね。生まれ故郷でもあるし、新庄の大好きな点と言ったらこの自然環境だと思います。よく新庄には何も無いという声も聞かれますが、災害も少ないですから、何も無いことの安全さも大事じゃないかなと思います。
 ただ、若い世代の方が減っている様な気がします。それは困りますしなにより寂しいですよね。なんとか当社のような中小企業がより仕事を頑張って雇用を支えることで、工業団地がもっと盛り上がっていけば、最上地域としてもありがたいことと思います。

◆後輩世代へのアドバイスを

 若い頃は、時間を持て余してただぼうっと過ごしてしまうこともあると思います。私もそうでした(笑)。
でも社会人になり、やるべきことが求められて大変さを感じるのは、誰でも同じです。ただ、その仕事に対してやる気が出て、好きになってくるのは徐々になんですね。仕事に少しずつ慣れてきて、面白味を感じる時期は必ず来ますから、それまではあまり自分を追い詰めたりせずに、楽しいところを少しずつ見つけながらやっていけばいいと思いますよ。
 私も、楽しさだったりやりがいを感じたのは25歳くらいからだったと思います。それはやらされてるという感じではなく、やっているんだという意気込みを、自分自身に感じられた頃でした。きっと、そういった前向きな姿勢を持つことが、自分自身の仕事の楽しさにつながるんだと思います。

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製品の寸法精度を検査

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取引先など顧客との電話対応